損失回避

損を嫌う

同じ1万円でも、失う痛みのほうが強い

どういうクセ?

1万円を得た喜びより、1万円を失った痛みのほうが2倍前後強く感じられる、という研究で知られる性質です。行動経済学のプロスペクト理論の中心にある考え方で、人は損得を対称には感じません。

相場で何が起きるか

下落局面で必要以上に売りたくなるのは、この痛みから逃れるためです。逆に、株式の比率を最初から低くしすぎて、増える機会を捨てるという形でも現れます。痛みを避ける行動そのものが、長期の成績を削ります。

仕組みで防ぐ

資産全体の何割まで下がったら何をするかを、平常時に紙に書いておく。下落の最中に決めた判断は、ほぼ例外なくこのクセの影響下にあります。もう一つは、口座を見る回数を減らすことです。見るたびに痛みの機会が増えます。

解説動画: 【資産運用】相場の大暴落がまたきたらどうすればいい?│投資Q&A/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル

暴落が来たら、まず何をするか: 「投資を始めてすぐリーマン・ショックのような大暴落が来たら」という質問への回答。まずパニックにならず冷静に判断することだと置いたうえで、実際の答えは暴落の前——お金の分け方にあると展開する。

お金を3つに分ける: 日々の生活に必要なお金(食費・光熱費+急な出費の予備費)、近く使い道が決まっているお金(車の購入・旅行)、そして当面使う予定がないお金。投資に回すのは3つ目だけ、というのがこの動画の核。

分けていなかった場合: 投資に回した資金が近く使う予定のあるお金だった場合、暴落時には大きな損が出る覚悟で売却するという選択肢しか残らない。一気に売っても分けて売っても同じ、と言い切っている。逆に当面使わないお金なら、再び値段が上がるまで持っておくという選択肢が生まれる。

積立をしている場合: 値段が下がればその分多く買えるので、平均単価を下げられる。だから大きな下落は安く買えるチャンスが来たと考えることもできる、として積立の継続を勧めている。

解説動画: 松谷会長が聞く『行動経済学とはなにか?』/資産運用業協会チャンネル

実験で確かめる: 資産運用業協会が、行動経済学の第一人者である大阪大学の大竹文雄教授を招いた対談。損失回避を、その場の質問で体験させる形で説明する。まず「コインを投げて表なら2万円もらえる」と「確実に1万円もらえる」——多くの人は確実な1万円を選ぶ。

払う側になると逆転する: 次に「コインを投げて表なら2万円払う」と「確実に1万円払う」——今度はギャンブルのほうを選ぶ人が多数派になる。もらうときは安全策、払うときは現状維持ができる可能性のあるギャンブルを打つ。これが損失を確定させることを嫌う性質だと説明される。

従来の考え方とのずれ: 伝統的な経済学では、利益の場面で安全策を取る人は損失の場面でも安全策を取るはずだと考えられていた。現実の人間はそこからずれている——この非対称そのものが、行動経済学が扱う対象だという整理になっている。