身内の成功談

群れる

効く場面: 買うとき

いちばん断りにくい情報源

どういうクセ?

友人や家族から聞く「これで儲かった」という話です。悪意が無いぶん、疑うことに罪悪感が伴います。話し手も善意で勧めているので、双方が疑わない構図ができます。Bursztyn ら(2014年)は、証券会社と組んだ現場実験で、組にした相手が買いたがっていると知らされると、投資の判断に有意な影響が出て、金融に不慣れな人ほどその影響が強かったと報告しています。

相場で何が起きるか

ポンジ・スキームと情報商材とオンラインサロンが広がる経路の一つがここです。実際に配当を受け取った人が、心から良いものだと信じて紹介します。被害者が次の勧誘者になるという連鎖は、この善意で回っています。国民生活センターは、友人や知人に「暗号資産でもうかる。人を紹介すれば紹介料も入る」と誘われて預けたお金が出金できない、といったケースがみられると発表しています。

仕組みで防ぐ

人と商品を切り離す。相手を信頼することと、商品を信頼することは別です。「登録番号を確認したい」と伝えて気を悪くする相手なら、その関係のほうを見直す理由になります。自分も勧める側に回らない、と決めておくことも大切です。米国の SEC は、自分が属する団体や集団の一員の勧めだけで投資しないよう呼びかけ、国民生活センターは、勧誘をうのみにせず登録業者かを確かめるよう勧めています。

出典

  1. 論文・英語 Leonardo Bursztyn, Florian Ederer, Bruno Ferman, Noam Yuchtman(Econometrica)(2014) Understanding Mechanisms Underlying Peer Effects: Evidence From a Field Experiment on Financial Decisions
  2. 公的機関・英語 米国証券取引委員会(SEC)(2013) Affinity Fraud: How to Avoid Investment Scams That Target Group
  3. 公的機関 国民生活センター(2022) SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル−その話、うのみにしないで−

解説動画: 「投資詐欺」に関する疑問に専門家が回答|お金のなんでも1分相談所|J-FLEC【第3回】/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル

友人を止めたいとき: 詐欺に遭いそうな友人をどう止めるか、という質問への回答が実践的。まず友人の話をよく聞いて、味方だと感じてもらうことが大切。頭ごなしに「それ詐欺だよ」と否定すると、自分が否定されているように感じて耳を持たなくなると、失敗する止め方まで具体的に示している。

何を一緒に見るか: 似たようなケースをネットで見たことがある、と切り出して、警察庁・金融庁・日本証券業協会のサイトを一緒に見る。その業者が金融庁に登録されているかを一緒に調べる。相談窓口を紹介するのもひとつ。客観的なデータや例を示して、友人自身に「怪しいかも」と気づいてもらうことが大切だとしている。

なぜ人はだまされるのか: 損したくない、できれば楽してお金が欲しいという人間の欲が主な原因。著名人や肩書きのある人に盲目的に従ってしまう、誰かが自分のお金を増やしてくれたらという他力本願を持ってしまうと狙われやすい、と分析されている。

解説動画: 若者に広がる「人を紹介すればもうかる」誘いに要注意!【啓発アニメ】国民生活センター/国民生活センター

善意で運ばれてくる: 誘ってくるのは高校の部活で仲が良かった先輩。「経済学を勉強していて、その一環で始めたら面白い」という自然な入り方で、勧誘している側も自分が正しいことをしていると思っている。

断りにくさが仕掛けの一部: 「可愛い後輩が困っていたら何とかしてやりたくなるのが先輩ってもんだろう」。この言葉に対して「そうですよね、僕もやってみます」と答えてしまうところまで描かれる。商品を検討したのではなく、人を信頼しただけという構造がそのまま見える。

先に決めておくこと: 人を信頼することと、商品を信頼することは別。知人からの話でも、業者名と登録の有無をその場で確認する——それを失礼だと思わない関係のほうが健全だ、という判断につながる。