軍事論
西洋の戦略書
成立: 4世紀末頃(後期ローマ帝国)
軍事論は、衰えつつあったローマ軍の立て直しを訴え、最盛期とされる軍の編成・訓練を書き残そうとした、後期ローマの著作。
いつ・誰が書いたとされるか
この書は、後期ローマ帝国の著述家フラウィウス・ウェゲティウス・レナトゥスが、4世紀末頃に著したとされる。原題は『Epitoma rei militaris』(『De re militari』とも呼ばれる)。もう一つの現存著作『獣医術提要』のほかには、ウェゲティウス自身の経歴を伝える確かな記録は無い。
どんな構成で、何が書いてあるか
現行の英訳(1767年、John Clarke訳)は5巻構成をとる。新兵の選抜・訓練、軍団の編成、用兵の一般原則から、攻城戦や海上の戦いまでを扱う。最盛期とされるローマ軍のあり方を手本として書き残そうとする内容からなる。軍団の内部組織や、攻城兵器の扱いについても、かなり細かく記されている。
中心になる考え
この書の中心にあるのは、自身の時代の軍が衰えているという危機感である。それを出発点に、かつての制度・訓練を整理して書き残すことで、軍の立て直しの手がかりにしようとする、実務的な提言という性格を持つ。同時代の皇帝や高官に向けて書かれたとみられ、実際の軍政に役立てることを意識した内容になっている。
作者と成立でわかっていないこと
ウェゲティウスがどの皇帝の治世に、どのような立場でこの書を著したのかは確かめられない。本文が描く「最盛期のローマ軍」がどの時代の実態に基づくのか、どこまでウェゲティウス自身の時代の制度が混じっているのかについても、確かめきれない。研究者の間でも、いまなおこの点についての見方は分かれている。
原文をどこで読めるか
1767年のJohn Clarkeによる英訳が、Internet Archiveで読める。