戦争の技術

西洋の戦略書

成立: 1519-1520年(フィレンツェ)

戦争の技術は、フィレンツェの政治思想家マキアヴェッリが対話の形式で古代ローマの軍制を手本に当時の傭兵制を批判した書。

いつ・誰が書いたとされるか

この書は、フィレンツェの政治思想家ニッコロ・マキアヴェッリ(1469〜1527年)が1519年から1520年にかけて執筆し、翌1521年に刊行したとされる。原題は『Dell'arte della guerra』。フィレンツェのオルティ・オリチェッラーリ(ルチェッライ家の庭園)での対話という設定をとる。

どんな構成で、何が書いてあるか

この書は序文と全7巻からなる。傭兵隊長ファブリツィオ・コロンナを主な話し手とする対話形式で、兵士の徴募・軍の編成・訓練・陣形・行軍・攻城戦までを、古代ローマの軍制を手本にしながら論じる。フィレンツェの貴族ロレンツォ・ディ・フィリッポ・ストロッツィに献じられている。対話は複数日にわたって行われたという設定になっている。

中心になる考え

この書の中心にあるのは、当時のイタリア諸都市が頼っていた傭兵制への批判である。傭兵は忠誠心に欠け、国を守る力にならないとして退け、市民自身が担う軍こそが国を守るという、古代ローマの制度を手本にした考え方を中心に置く。傭兵隊長ファブリツィオ・コロンナに、あえてこの批判を語らせている点も特徴的である。

作者と成立でわかっていないこと

対話に登場する人物や場面がどこまで史実に即したものかは確かめられない。古代ローマの軍制についての記述が、どこまで史料に基づき、どこからマキアヴェッリ自身の解釈が加わっているかについても、確かめきれない。対話の設定であるオルティ・オリチェッラーリの集まりも、実際にあった知識人の会合を踏まえるとされるが、詳細は確かめきれない。

原文をどこで読めるか

イタリア語原文(Einaudi, 2000年版、底本はMartelli編全集, Sansoni, 1971年)と、Henry Nevilleによる英訳(1675年)がいずれもインターネットで読める。