戦略論

西洋の戦略書

成立: 1世紀末(ローマ帝国)

戦略論は、ローマの行政官フロンティヌスが過去の指揮官の機略を主題別に集めた、4巻からなる逸話集。原題『Strategemata』。

いつ・誰が書いたとされるか

この書は、ローマの行政官・技術者だったセクストゥス・ユリウス・フロンティヌス(40年頃〜103年頃)が、1世紀末頃に著したとされる。原題は『Strategemata(ストラテゲマタ、「機略」の意)』。古代の著者の多くと同様、フロンティヌス自身の経歴について確かな記録は乏しい。後世、水道技師としての著作でも知られる。

どんな構成で、何が書いてあるか

この書は4巻からなる。第1巻は作戦計画・行軍(秘密保持・敵情探知・陣地選定など12の主題)、第2巻は戦闘の実行(戦う時機・場所の選定・部隊配置・撤退など13の主題)を扱う。第3巻は包囲戦(奇襲・包囲戦術・補給など18の主題)、第4巻は将帥に求められる資質(規律・正義・決断・節制など7の主題)を扱う。

中心になる考え

この書の中心にあるのは、抽象的な原則を説くのではなく、過去の指揮官がとった具体的な行動を主題ごとに集めて並べる姿勢である。状況に応じた判断の参考にしようとする、逸話の集成という性格に特徴がある。扱う逸話はギリシアやローマの指揮官にわたり、地域や時代を横断して集められている。第4巻は他の3巻と違い、将帥の人柄に関わる逸話を集める。

作者と成立でわかっていないこと

第4巻を含め、全体がフロンティヌス自身の手になるものかどうかは、写本の伝わり方をめぐって議論があり確かめられない。個々の逸話がどこまで史実として確認できるかについても、扱う時代や登場する指揮官が逸話ごとに違うため、一律には確かめられない。第4巻だけ性格が異なる点も、後世の編集が関わった可能性を示唆する。

原文をどこで読めるか

ラテン語原文と英訳(Loeb古典叢書、Charles E. Bennett訳、1925年版)は、シカゴ大学のLacusCurtiusで読める。