五輪書
日本の兵法書
成立: 江戸初期(1643-1645年頃)
五輪書は、剣術家・宮本武蔵が晩年に記したとされる、地・水・火・風・空の五巻からなる兵法書。自筆本は現存しない。
いつ・誰が書いたとされるか
『五輪書』は、剣術家・宮本武蔵(1584〜1645年)が、寛永20年(1643年)から、亡くなる直前の正保2年(1645年)にかけて記したとされる書物である。武蔵自身が書いた本は現存しておらず、今に伝わっているのはすべて写本(書き写された本)である。武蔵は二天一流という剣術の流派を開いたことでも知られる。
どんな構成で、何が書いてあるか
『五輪書』は、地之巻・水之巻・火之巻・風之巻・空之巻の五巻からなる。地之巻で兵法と自らの流派・二天一流の概略を、水之巻で構え方や太刀筋を、火之巻で実戦での勝ち方を述べる。さらに風之巻で他の流派との違いを、空之巻でたどり着いた境地を述べる構成をとる。五巻の名は、仏教で言う地・水・火・風・空の五大にちなむ。
中心になる考え
『五輪書』の中心にあるのは、一対一の勝負から大人数の戦いまでを、地続きのものとして捉える考え方である。構え・間合い・相手の強弱の見きわめといった具体的な要素を積み重ねて説く、実戦に即した内容に特徴がある。抽象的な精神論に終わらせず、繰り返し稽古する実践を通じて身につけることを説く点も特徴である。
作者と成立でわかっていないこと
武蔵自身が書いた本は現存しない。寛文7年(1667年)に高弟・寺尾孫之丞が門人・山本源介にあてて書いた巻子本(細川家に伝わり、現在は永青文庫が所蔵)などの写本が手がかりとなる。ただし写本どうしの間には差異があり、どれが原本にもっとも近いかは確かめられない。諸本の系統をたどる研究はいまも続けられている。
原文をどこで読めるか
現代の校訂本は岩波文庫『五輪書』(宮本武蔵著、渡辺一郎校注)などで読める。