寝起きの鈍さ
目覚めと光
目覚めた直後は判断が鈍い。難所はそこに置かない
どんな技?
起きてから最初の一区切りには、暗記や重い判断を置きません。代わりに入れるのは着替えや洗いもの、前日のメモを目で追うといった手が勝手に動く作業です。机に向かうのは支度が済んでからにして、その日の難所は後ろへ回します。昼寝から戻った直後も同じ扱いで、目覚めてすぐ解き始めないようにします。並べ替えるだけの技なので、早起きの時間を増やす必要はありません。
なぜ効くのか
目覚めた直後は、眠りから覚醒への切り替えが途中の状態です。数を保ちながら考える作業記憶の働きや注意を向け続ける力が下がっているので、同じ問題でも手が止まります。前の夜が短かったときや、体内時計の底に近い時刻に起こされたときには、この鈍さが強く出ます。時間がたつにつれて薄れていく種類の落ち込みで、実力が下がったわけではありません。
やり方
前の晩のうちに、朝いちばんにやる軽い作業を一つだけ決めておきます。起きたら支度を先に済ませ、机では前日の続きを読むところから入ります。暗記や答え合わせは、体が動き出してから始めます。戻るまでの時間は人と日で違うので、数日ぶん、起床から手が動くまでの長さを書き留めます。自分の目安が出たら、朝の予定はその線で組みます。
はまりどころ
鈍さを消す方法として言われる洗顔や大音量の目覚ましは、効き目を比べた研究が乏しく、勧められる形になっていません。抜けるまでの時間も条件で変わるので、何分で戻ると決め打ちできません。早起きの枠を作るために睡眠時間を削らないことが先で、寝不足で起きた朝はこの鈍さが強く出ます。前夜に詰め込む一夜漬けは、翌朝の鈍さと重なって裏目に出ます。
確かめられ方
Hilditch と McHill が2019年にまとめた総説では、起床直後の成績低下が実験室でも現場でも観察され、睡眠不足と起きる時刻によって強まると整理されています。Brooks と Lack が2006年に行った実験でも、30分の仮眠の直後に成績の落ち込みが出ています。ただし何分で抜けるかは条件で変わり、一律の数字や解消法の優劣は示されていません。
解説動画(海外・英語): Why Is Waking Up So Hard?/Seeker
起きられない訳: 自然に目覚めたい時刻より早く起こされる暮らしは7割の人に及ぶという調査から入り、動画は、起きられなさには名前があると切り出します。紹介されるのは一時的に頭がはっきりせず働きが落ちる期間という定義で、記憶や反応が鈍る、簡単な計算ができない、注意が続かない形で出ます。1時間ほど残ることもあると述べます。
深い眠りで鳴る: 眠りは浅い段階から深い段階、そして夢を見る段階へと進み、一晩に4〜5回めぐると図解されます。いちばん深い徐波睡眠の最中に目覚ましが鳴ると鈍さは最も強く出て、トラックにはねられたようだと表現される状態になります。眠りを支えていたホルモンが起きた体に残っているためだ、というのが動画の説明です。
明かりをつける: この状態に名前がついたのは70年代の後半で、まだ研究の途中だと動画は断ります。そのうえで今言える手として、寝床から出て部屋の明かりをつけることを挙げます。網膜が眠りと目覚めの周期をつかさどる脳の中枢に直につながっていて、そこが眠気を促すホルモンの放出も握っているから、という筋です。
画面は数に入らない: ただし手元の画面は数に入りません。夜の光と画面が周期を乱すことは認めたうえで、寝る前は避けるよう釘を刺しつつ、寝起きに青い光を強めても頭ははっきりしなかったという研究を挙げます。二度寝も同じ扱いで、深い眠りから起こされてまた眠りに落ちると周期がやり直しになり、よけいに重く感じると述べます。
朝の型をつくる: 30分おきに鳴らす作戦も、少しずつ目覚めているのではなく眠りを何度も中断しているだけだと退けます。締めは、目覚ましは一つにしてそこで体を起こす、遮光カーテンを外して朝の光を入れる、起きる時間をそろえることを週末にも広げる——鈍い時間があると見込んで朝を組む話に落ち着きます。