渦は中心が低圧だから吸い込むという説明
数と言葉の誤解
低いのは回っている結果、原因ではない
よく言われること
渦の真ん中は圧力が低く、その低さがまわりを引き寄せている、という説明です。排水口で水の抜けが速くなるのも、竜巻が物を持ち上げるのも、中心の低圧が吸い上げているからだと続きます。低い場所へ吸い寄せられていく、という引く力の絵で語られ、台風の目の映像がその絵をさらに強めます。
実際はどうか
中心が低いのは本当です。ただしそれは回り続けるための結果のほうです。円を描いて回るには中心へ向く力が要り、それを出しているのが外側の高い圧力です。外が押しているのであって、中心が引いてはいません。内へ向かう流れが本当にあるなら理由は別にあり、排水口に立つ渦なら底から水が抜けることが元です。
なぜ広まったか
「低い方へ流れる」という感覚が強いからです。渦の軸に沿った向きでは、たしかに高いほうから押されて低い側へ動きます。ところが横向きには回る勢いと圧力差が釣り合っていて、そのままでは中心へ近づけません。竜巻で物が中心へ寄って見えるのは、地面のそばで回転が弱まった空気だけが内へ入り、そのまま上へ抜けていくためで、低圧が引いた結果ではありません。
どう言えば正しいか
「回っているから中心が低い」と、順番を入れ替えて言います。力の説明に出てくるのは押す力だけで、引く力は最後まで出てきません。物が集まって見えたら、内向きの流れを作っているものを別に探します。言い方そのものの問題は「吸い込む力」という言い方にもあります。渦を見たら、何がそれを回しているのかから追うと外しません。乱れた流れの中で渦がどう生まれて消えるのかは、まだ完全には説明できていません。