紙が吹き上がるのはベルヌーイの証明という説明

飛ぶことの誤解

紙の上を吹くと持ち上がる実験の読み方

よく言われること

「紙の端を唇の下に当てて上面へ息を吹くと、垂れていた紙が持ち上がる。上の流れが速くなって圧力が下がったからで、翼が飛ぶのと同じ理屈だ」。数秒で結果が出るうえ、紙一枚あればどこでもできるので、授業でも動画でも定番の実演として繰り返され、式の裏づけとして紹介されます。

実際はどうか

紙が上がること自体は本当です。ただし、速い流れは低圧だという証明にはなりません。ベルヌーイの関係は同じ流れの筋の上でしか比べられず、吹いた息と部屋の静かな空気はもともと別の流れだからです。実際には息が紙の曲面に沿って下向きに曲げられ(コアンダ効果)、押し下げられた息が紙を押し返す、その反動が効いています。

なぜ広まったか

結果が鮮やかで、式とすぐ結びつくからです。どの流れとどの流れなら比べてよいかという条件は式の外側にあり、板書にも実演にも残りません。その条件を戻すと、紙を上げているのは曲げられた息であり、息を下へ押した反動が紙を上へ押している、という順序が見えてきます。実験が悪いのではなく、読み方が一段抜けているだけです。

どう言えば正しいか

「息が紙に沿って曲げられ、紙はその反動で上へ押されます。流れの速い場所の圧力が低いことも同時に起きていますが、別々の流れは直接比べられません」と言えば、実験は捨てずに済みます。紙を平らに張って吹くと上がりにくいことも、その場で比べられます。曲げられる形かどうかが分かれ目で、どちらの結果も同じ一つの理屈で説明できます。

解説動画: 空気の流れがつくる不思議な現象/A Mysterious Phenomenon Created by the Flow of Air/でんじろう先生のはぴエネ!【公式】Mr. Denjiro's Happy Energy!

太さの違う空洞に空気を送る: 透明な空洞は場所によって太さが違い、そこから色水を入れた細い管が3本伸びている。最初は三本とも水面の高さがそろっている。空気を送ると水面はどうなるか。押されて下がりそうに見えるが、結果は細いところほど水面が高くなった。

水面の高さが圧力を映す: 送る空気の量が同じなら、細いところほど流れは速くなる。その細いところで水面が高いのだから、そこの圧力は低くなっている。速いところほど圧力が低いという関係を、動画はベルヌーイの式(ベルヌーイの定理)として紹介する。

ドラム缶が引き寄せられる: 次は台車に乗せた2つのドラム缶。あいだに空気を送ると、押されて離れそうなのに、逆に近づいて倒れてきた。この現象は「間の圧力が下がったから引き寄せられた」とベルヌーイの定理で説明されることが多いが、実は違うとその場で断る。

曲面に沿う流れとその反作用: では何が起きたのか。ドラム缶の側面に風を当てると、流れは曲面に沿って向きを変える。これがコアンダ効果。缶が流れの向きを変えた分、その反作用を缶自身が受け、風の通る側へ動く。2つが近づいたのは間の圧力が下がったからではないと結論する。