電動ミル(臼式)
ミル(挽く)
電動ミル(臼式)は、手挽きと同じ原理で速く粒度も安定するため、毎日飲むなら手間の差が大きい道具です。
どんな道具?
手挽きと原理は同じですが、速く、粒度も安定します。2人分以上を毎日挽くなら、手挽きの労力が現実的な障害になってきます。粒度の話では、エスプレッソ用の粉に微粉(100µm 未満)を足す実験で、スイスの大学のチームは、微粉が多いほど粉の層を湯が通りにくくなり、抽出が長引くと報告しています。別の英米の大学とミルのメーカーなどの研究チームは、豆を冷やして挽くと粒度分布が狭くなり、平均の粒が小さくなると報告しています。どちらも実験での結果です。
選び方
安価なプロペラ式は避けてください—— 挽くというより砕く方式で、微粉が大量に出て雑味の原因になります。臼式はフラット刃かコニカル(円錐)刃かで性格が違います。Mahlkönig(業務用ミルのメーカー)は、フラットは粒がそろいやすく、コニカルは粒が大小に分かれやすい一方、粉の残りと静電気が少なく、熱を持ちにくく静かだと説明し、どちらが上とも言えないと述べます。ただし同社は、粒の均一さが大事ならフラットを勧める立場です。
使い方のコツ
挽く前に、豆を計ってから入れる。ホッパーに入れっぱなしだと酸化します。挽いたあと本体を軽く叩くと残った粉が落ちます。静電気は微粉をミルに貼りつけます。米国の大学のチームは静電気を減らす4つの方法を試し、豆に水を1gあたり0.05mL未満加えて挽く方法が最も効いたと報告しました。粉の固まりと貼りつきが減り、深煎りのエスプレッソで濃さが15%以上上がりました。水を加える手順は、ミルの取扱説明書で確かめてください。
手入れ・注意
刃まわりを定期的に掃除する。家庭用ミルの Baratza は、通常の手入れを4〜6週間ごとと案内します。ホッパーと上の刃を外して粉を刷毛で払い、ホッパーと粉受けはぬるま湯と洗剤で洗って乾かします。深煎りが中心なら、油を吸わせる専用タブレットを挽くのもよいと勧め、生米を挽く方法はこの案内に載っていません。同じ案内は、詰まりを防ぐため、粉受けをあふれさせない、小麦粉のように細かく挽かない、香料つきや油の多い豆を避けるよう求めます。
出典
- 論文・英語 Smrke S ほか(チューリッヒ応用科学大学)(2024) The role of fines in espresso extraction dynamics
- 論文・英語 Uman E ほか(2016) The effect of bean origin and temperature on grinding roasted coffee
- 論文・英語 Méndez Harper J ほか(ポートランド州立大学・オレゴン大学)(2024) Strategies to mitigate electrostatic charging during coffee grinding
- 資料・英語 Mahlkönig USA(ミルのメーカー)(2026) Flat vs Conical Burrs: Which Is Better?
- 資料・英語 Baratza(ミルのメーカー) Grinder Cleaning Essentials: Routine Care & How to Prevent Clogs
解説動画: 刃の形で分ける家庭用コーヒーミル3方式の違い//岩崎泰三 -Coffee Journalist Taizo Iwasaki -
3方式の中での位置づけ: 家庭用のコーヒーミルは刃の形で主に4種類に分かれるが、ロール式は大きな工場にしかないため家庭用からは外し、コニカル(円錐)・プロペラ(ブレード)・フラット(ディスク)の3方式として説明している。コニカルには手挽きミルの大半が当てはまり、ディスク式は手挽きがほとんど無く、業務用を縮めた電動が中心になる。
仕組みと挽き上がり: フラット(ディスク)式は平らなディスク2枚を向かい合わせて回し、間に挟んだ豆をすり潰す方式。粒度の安定がまったく違い、楽で安定して美味しいとしている。ダイヤルで挽き目をワンタッチで変えられ、いつも決まった状態の粉が出るので、ドリップの時間や湯量を詰めたい段階に入った人に勧めている。
置き場所と他方式との違い: 回転させるために本体がある程度重く大きくなり、小型のものもほとんど無いので、置き場所に余裕がないと厳しい。挽き上がりでは、衝撃で豆を壊すプロペラ式は大粒と微粉が混ざってムラが出やすい。ただしプロペラ式も安価で場所を取らず、数十秒で挽けるため入門には勧めており、特別な考えで作られた高級な手挽きコニカルはディスク式と同じあたりに位置づけている。
手入れ: 刃の内側にコーヒーの粉が残留するため、放置すると金属にも良くなく、粉が劣化して次に挽いたときに古い粉の味が出ると注意している。刃を外してブラシで払うのが基本で、届かない細部は綿棒やカメラ用のブロワーも使う。手入れのしやすさもミルを選ぶ基準になり、メンテナンスまで含めて楽しめるといいとしている。