画面の分け方と、主役の置き方の型。
構図は、作品の中の要素の配置を指す(テート美術館の用語解説)。図鑑には7つの型が並ぶが、型から選び始めると、主役が後から型に押し込まれる。決める順は、主役を1つ、画面の縦横、主役の位置、主役を支える線と明暗の4段になる。画面の縦横はアスペクト比で、背の高い主役なら縦、広がる風景なら横を先に決める。
主役の位置は、まず中央に置くか外すかを選ぶ。3×3の9つの位置に魚・犬・鷲の絵を置いて2枚ずつ比べさせた実験では、どの物もどの向きでも中央がいちばん好まれた(カリフォルニア大学バークレー校のPalmerの研究室、2014年の学会発表)。主役が正面を向く、左右対称、丸い、のどれかなら日の丸構図から試す。横を向いた主役は、向いている側を広く空けた位置が好まれた(同じ研究室)。動く物も、進む先の側に余白を残す(ニコン)。
中央を外すなら三分割法を使う。縦横を三等分した線の交点の近くに主役を置けばよく、交点ぴったりでなくてもよい。地平線は画面の真ん中を避けて上か下の線へ寄せるが、水面に映り込む景色だけは中央に置き、上下をそろえる(ニコン)。上下がそろう景色はシンメトリー構図の扱いになる。ただし三分割法は定石ではない。写真の三分割らしさを30人の判定と計算で比べた研究では、美しいと評価された写真と大量の絵画のどちらでも、計算した三分割らしさは、三分割に従っていない写真と同じくらい低かった(Amirshahi ら 2014)。三分割法は、中央以外を試すきっかけとして使う(Palmer の研究室)。
位置が決まったら、線と形で主役を支える。画面に斜めの線があれば対角線構図で動きを出し、人物の群れなら三角構図で底を広く取る。奥へ曲がる道や川はS字構図で主役まで目を運ぶ。手前に窓や戸口があれば額縁構図で外側を締め出す。ホラティウス兄弟の誓いでは、背後の3つのアーチが人物の群れを1組ずつ枠取る。
写真が平板に見えるのは、手前・中・奥のうち1層しか入っていないときが多い。手当ては3つある。1つ目は、先に背景を決めて立ち位置を固めること。2つ目は、動かない物を1つの層にして、動く人が入るのを待つこと。3つ目は、層どうしが重なったら一歩横へずれるか、カメラを数センチ下げて、隙間に人を収めること。画角の広いレンズで寄ると、手前の層が大きく入る。絞って被写界深度を深くすると、全部の層にピントが合う代わりに、ぼけで層を分けられない。層は物と物の間隔で分ける(Tim Jamieson)。
型を外す判断もある。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、カットが1〜2秒ごとに替わる場面でも、見るべき所を画面の中央近くに置き続けた。次のカットでも目が探さずに済むので、速い編集でも話が追える(Seigher Brown)。型は道具で、場面ごとに選び直す。
やりがちな失敗は、見えた物を全部入れることだ。層が多いほど良いわけではなく、よい1枚は思ったより少ない要素でできている(Tim Jamieson)。入れる物を減らし、主役と、主役を支える1本の線だけを残すと、どの型を選んでも画面が締まる。
出典
- 公的機関・英語 Tate Composition
- 資料・英語 Palmer Lab(カリフォルニア大学バークレー校) How the "Rule of Thirds" is Wrong: Let us Count the ways(Spatial Composition の研究の一覧)
- 論文・英語 Amirshahi SA, Hayn-Leichsenring GU, Denzler J, Redies C(2014) Evaluating the Rule of Thirds in Photographs and Paintings
- 資料・英語 Nikon USA(メーカー資料) 5 Easy Composition Guidelines
- 動画・英語 Tim Jamieson(2026) Stop Shooting Flat Photos. Do This Instead
- 動画・英語 Seigher Brown(2026) Can Composition Be Taught? Or Is It Instinct?









