もやい結び

張り綱・設営

もやい結びは、ほどけず締まらない輪を作る万能の結び方。

使いどころ

テントやタープの張り綱を大きさの変わらない輪で木やハトメに掛けたいときの定番です。東京消防庁の教材は、太さを問わず結びやすく輪が締まらない、命綱にも使う結びとして載せ、大阪市東成消防署は、締めつけたくない物につなぐ結びとして犬のリードを支柱や手すりに結ぶ例を挙げています。Animated Knots by Grog は、係留のロープをリングやポストに留める結びとして載せています。

結び方

まず、作りたい輪の大きさ分のロープを残して元側のロープに小さな輪を作ります。末端をその輪へ下から通し、元側のロープの後ろをぐるりと回して、もう一度同じ輪へ上から差し戻します。最後に元側と末端を同時に引いて形を締めます。ひとり親方ロープワークの動画は、引くとほどけるスリップノットの形を使う手順や、端を元側の裏へ回して輪へ入れる手順など、同じもやい結びに仕上がる3通りを紹介しています。

コツ・注意

荷重が抜けた状態で揺すられるとゆるむことがあります。Animated Knots by Grog は、荷重のないもやい結びは自然にほどけやすいと注意し、ダブルオーバーハンドの止め結びを足す方法と、末端はロープの周囲の12倍を残す目安を載せています。登攀では結び間違いやすくゆるみやすいので細心の注意が要る、とも書いています。締め付ける結びではないので、きつく縛る用途には向きません。

出典

  1. 資料・英語 Animated Knots by Grog Bowline Knot
  2. 公的機関 東京消防庁 第15章 救助(結索)
  3. 公的機関 大阪市東成消防署(2022) 簡単ロープ結索(けっさく)方法!
  4. 動画 ひとり親方ロープワークROPEWORK ロープワーク もやい結びの便利な3種類の結び方

解説動画: もやい結びの覚え方「した・した・した・上」/結び方ナビ 〜 How to tie 〜

概要: ロープの先端に、決まった大きさの輪をつくる結び方を解説している。引っ張っても緩まず輪の大きさが変わらないがっちりした結び目になるのが特徴で、船舶の係留や消防のレスキュー、アウトドア、造園など幅広い場面で使われる。キング・オブ・ノットとも呼ばれる、最も有名なロープワークの一つとして紹介している。

結ぶ手順と覚え方: 右手に先端、左手に元ロープを持ち、元ロープが下になるように数字の6のような輪をつくる。先端をその輪へ下から通し、元ロープの下に重ね、最後に中心の輪へ上から通す。先端と輪の右側、元ロープをそれぞれ持って引き締めれば完成する。上下どちらに重ねるかで迷いやすいので、した・した・した・上と唱えながら手を動かすと順番を忘れにくい。

対象物に回して結ぶ場合: 杭や柱のような対象物に結びつけるときも手順は変わらない。裏側からロープを回して右手に先端、左手に元ロープを持ち、元ロープが下になるよう輪をつくって、先端を下から通し、元ロープの下に重ね、中心の輪へ上から通して締める。手順を体で覚えてしまえば素早く結べるようになる、と説明している。

解き方: 結び上がりはしっかりしているが、解くのは簡単だと説明している。表から見て横に渡っている紐と、裏返して横に渡っている紐を、それぞれつまんで真横に引っ張るだけでするりと解ける。強く引き締めた後でも、力任せに引っ張る必要はない。

解説動画(海外・英語): How to Tie The Bowline Knot - [For VISUAL Learners]/The Bear Essentials

「結び目の王様」と呼ばれる理由: もやい結び(bowline)はテンションが掛かったあとでも極端にほどきやすいのが最大の長所で、そのうえ用途が広い。ロープの端に確実な輪を作るのが基本で、タープを張る、テントのフライを留める、木に回す、バッグの持ち手やカラビナに掛ける、といった使い方ができる。さらに輪そのものを持ち手として使う輪をカラビナ代わりに使う、対象物にぐるりと回して端を輪に通せば締め込む結びになるといった応用も紹介している。

覚え方:車のキーを回す手首の動き: 手順は、まず車のキーを回して切る動きで手首をひねり、輪を作る。次に端を輪の下から通し、元のロープの後ろへ回して、また輪へ下ろす。最後に全部を引いて締める。締まった形ははっきりしたU字の巻きがあり、端が輪の内側に来るのが正解。念のため端で止め結びを足す人もいる。慣れてきたら手首をひねるあいだ端を握ったままにすると速く結べる。もし巻く相手を間違えて、テンションの掛かる側ではなく輪の側に回してしまった場合、それはアンチ・ボウラインという別の結びになるが、強度は同等で、むしろ元のもやい結びより解けにくいという見方もあるので慌てなくてよい。

向きが変わると手順も変わる: 結びを一方向でだけ覚えていると、自分のほうを向いて結ぶ場合と、向こう側を向いて結ぶ場合で手つきが変わり、途端に分からなくなる。この動画では対象物の位置で覚え分けている。木が目の前にある(対象が遠い)ときはキーを「切る」向き、バックパックやペグのように対象が手前にあるときはキーを「入れる」向きで輪を作る。あとの手順は同じ。昔からの覚え方としてウサギが穴から出てきて、木の裏を回って、また穴へ戻るという言い回しも紹介している。

実際の使い方:連結と、張りを調節する組み合わせ: ロープ同士をつなぐなら、両端にもやい結びを作って輪同士を掛け合う方法、あるいは一重つぎや本結び(安全のための止め結びを足す)を使う。作者のお気に入りはマーリンスパイク・ヒッチと組み合わせて張りを調節するやり方で、対象物に回したうえで、締めたい位置に棒を差し込むとそこで完全に固定でき、棒をずらせば張りを調節でき、抜けば一気に緩められる。