グランド・ジャット島の日曜日の午後
近代の入り口
ジョルジュ・スーラ/1884〜86年
どんな絵か
セーヌ川の中州で日曜の午後を過ごす人々。207.6×308cmという壁のような大きさのカンヴァスに油彩で描かれ、近づくと画面全体が細かい点の集まりになる。人物は数十人いるが、誰も動いていないように見える。
どこを見るか
手前は日陰、奥は日なた。その境目の横の帯で画面が切られている。人物は正面か真横を向いて立ち、日傘や帽子の丸が反復とパターンとして繰り返される。右手前の大きな二人から左奥の小さな人へと粒が細かくなり、それが遠近法の目安になる。色は隣り合う点どうしが目の中で混ざる。
使われている技法
油彩。純色の小さな点を並べ、パレットで混ぜずに見る人の目の中で混ぜる点描で描かれている。スーラ自身は分割主義と呼んだ。1889年には画面の縁に点の縁取りを描き足している。亜鉛黄が褐色に変わった部分があり、当初の明るさは失われている。
描かれた背景
1884年から2年をかけ、現地で描いた習作をもとにアトリエで画面を組み立てたとされる。1886年5月の第8回印象派展で発表され、同じ年の8月にはアンデパンダン展にも並んで、新印象派という呼び名のきっかけになった。シカゴ美術館蔵。
解説動画: 点描の理屈と、印象派展を終わらせた一枚/山田五郎 オトナの教養講座
この絵をどう位置づけているか: シカゴ美術館が外へ貸し出さないほど大事にしている作品だと切り出す。1886年の第8回印象派展にスーラがこの絵と仲間のシニャックの作を出そうと提案したことでモネやルノワールと決裂し、彼らは参加しなかった。この回を最後に印象派展は終わっており、印象派を終わらせた絵だと述べている。
なぜ点で描いたか: 絵の具は混ぜるほど暗くなる減色混合だが、光は足すほど明るくなる加色混合だと説明する。そこでスーラは補色を混ぜずに並べ、見る人の目の中で足し算をさせた。赤と緑を隣り合わせるとハレーションが起きて黄色が見え、緑がより明るく見える。この絵がむやみに明るいのは、細かい点の中に補色が入っているからだとしている。
雰囲気まで理屈で決めている: スーラは雰囲気の作り方も規則にしていたと紹介する。楽しい感じを出すなら暖色と明るい色、そして上へ登っていく線を使う。落ち着かせたいなら暖色と寒色を釣り合わせて水平線を、悲しくしたいなら寒色中心に明度を落として下へ向かう線を使う。この絵は明るく楽しい側にあたり、自分で立てた規則をそのまま実践した画面だと読んでいる。
縁の枠と、その後への影響: 画面の縁に描かれた点の枠にも触れ、中の色調に対して補色寄りの色でバランスを取っているため、内側がより明るく締まって見えるという。またセザンヌが形でやったことを色でやった仕事だとし、ゴッホやゴーギャン、のちのマティスら二十世紀の画家が通っていった道になったと述べている。批評家フェネオンがこの一派を新印象主義と名付けた。