カンヴァス

紙・支持体

布を木枠に張った絵の支持体

どんな道具か

麻や綿の布を木枠に張り、地塗りをした支持体。板に比べて軽く、大きくでき、丸めて運べるため、15〜16世紀のイタリアから急速に広まった。ヴィーナスの誕生は布に描かれた初期の例で、ウルビーノのヴィーナスのころには油彩とカンヴァスの組み合わせが標準になっている。

選び方

日本ではF・P・M・Sの号数で売られていて、同じ号数でもFが正方形に近く、Mが最も細長い(Sは正方形)。張り済みのものが手軽で、F6で800〜1500円ほど。麻は湿度による伸び縮みが少なく油彩向き、綿は安価で、アクリルならこれで十分足りる。最初は小さめの号数を数枚。

使い方のコツ

買った時点で地塗り済みのものがほとんどで、そのまま描ける。描く前に画面の埃を乾いた布で拭き取る。木枠の隅には楔(くさび)が差してあり、たるんだら少しずつ打つと張りが戻る。裏から手のひらで押して、太鼓のように返ってくる状態がいい。

手入れ・注意

布なので湿度で伸び縮みする。直射日光と湿った場所を避ける。表面を強く押すと目が伸びて跡が残る。重ねて置くときは画面どうしを合わせず、間に厚紙を挟む。長く置くなら床に平積みせず、立てて風の通る場所に。

解説動画: キャンバスの布の種類と張り方、号数の由来/もえアトリエ / Moet Atelier

どんなものとして説明しているか: 絵の具を乗せて表現を支えるもの、つまり支持体だと説明している。売り場にあるのは木枠に張った張りキャンバスのほか、自分で切って使うロールと、ノートのように一枚ずつ剥がせるパッドの三つ。ロールは自分で木枠に張ることもでき、パッドはかさばらず練習にも本番にも使えると勧めている。

麻と綿の違い: 麻は伸縮が少なく生地が丈夫で、油の酸化に強いため油彩に向くと言う。綿は麻より繊細でなめらかで細かい描写がしやすいが、伸びやすく油彩には向かないとされる。ただし自分が綿に描いた油彩は数年では変化が見えない、何十年かで割れるのかもしれない、と留保している。綿のほうが安いので、アクリルなら綿で足りるという立場。

木枠の張り方とたるみの直し方: 側面に金具を見せず布を裏へ回した張り方は額なしでも見栄えがするが、張りが甘くなりやすい。側面を金具で留めた張り方のほうが張りは強い。たるんだら、木枠の内側の隅に開いた穴へ付属の楔を四隅とも差し込む。枠が外へ押し出されて布に張りが戻る。新品でも緩いものに何度か当たったと言っている。

号数の由来と下地: 号数のF・P・M・Sは、もとフランスから入ってきた呼び方で、フィギュール、ペイザージュ(風景)、マリン(海)、スクエア(正方形)の頭文字だと説明している。F10が530×455mmと半端なのは、尺で測っていた寸法を明治に一尺303mmとしてセンチへ直した名残だという。市販品は下地が塗ってあるが、生地屋の布にそのまま描くと絵の具がにじみ耐久性も落ちる。