葉物は水耕より多く採れる?
収量と速度の説
判定: 条件によって変わる
作物によって、勝ち負けが入れ替わります。同じ温室で4方式を比べた試験では、ルッコラは霧のほうが、レタスは水にひたす方式のほうがよく育ちました。
言われていること
「葉物なら、水にひたす方式より霧のほうが多く採れる」「根に空気が当たるぶん育ちが速い」という言い方が、装置の説明や体験記に並びます。比べる相手を水耕とひとまとめにしたまま、どの水耕なのかも、どの作物なのかも書かないで勝ち負けだけが先に語られます。水の側の言い方は水耕より水を使わない?です。
誰が、何を、どう測ったか
ジョージア大学とパデュー大学の Hutchinson ら 2025(HortScience 60(4):601)が、温室でルッコラ Astro とレタス Casey を28日、深水・薄膜・垂直タワー・噴霧の4方式で育てました。水・電気・面積の投入量を測り、地上部の生体重で割って効率にそろえています。場所も期間も同じで、替えたのは方式だけです。
測るとどうか
結論は作物で割れました。ルッコラは噴霧が最もよく、深水が最も悪い。レタスは深水か薄膜がよく、噴霧と垂直タワーは中位でした。別々の研究を集めた Regmi ら 2024 のレビューでは、レタスの水あたりの収量が薄膜で80.8〜121 kg/m³、噴霧のタワーで8〜11.2 kg/m³と桁で開きますが、直接は比べられないと著者自身が書いています。
どう言えば正しいか
比べるなら品目まで下ろします。同じ温室・同じ日数でも、霧が有利な作物と、水にひたすほうが有利な作物に分かれました。ノズルの本数と間隔や株の詰め方といった装置側の条件でも成績は動くので、水耕より上、という一段では結論になりません。方式の名前ではなく、作物と装置の組で読みます。収量が45〜75%増える?も、同じ形の問いです。
解説動画: Hydroponics Systems side-by-side - Aeroponics vs Drip, Kratky and DWC/Urban Leaf
四つの方式を並べる: 動画は、点滴・泡を送る深水・超音波の霧・止水の4方式に土の区を加え、同じ部屋に並べて3か月育てた試験を見せます。植えたのはミニトマト・レタス・ビートの3種で、それぞれ果菜・葉物・根菜の代表という置き方です。容器はどれも光を通さないものにして藻を抑え、同じ部屋に並べて置いたという組み立てです。
揃わなかったところ: 動画は結果より先に不備を並べます。泡を送る深水の区は途中で水が切れて枯れました。この方式が水を減らす速さを分かっていなかったためです。土の区も毎日は水をやれず、トマトも咲いた花が実になりきる前に試験を打ち切っている。そろった数字が取れたのはトマトだけだったと自分で認めます。
採れた量はどうか: そのトマトで見ると、株が最も大きく育ったのは点滴の区で、ただし花が咲くのは遅かったと述べます。実の数と大きさが最もよかったのは超音波の霧の区で、次に来たのが止水の区。動かす部品がなく手もかからない止水がここまで並んだのは意外だった、と本人が驚いています。順位は見る項目ごとに入れ替わりました。
水の量と温度: 水の使用量では、最も多かったのが泡を送る深水の区で、次が点滴でした。止水が最も少なく、霧の区はそれに近い。霧は蒸発した水が系の中でまた戻るからだと説明します。一方、同じ部屋に置いても霧の区の養液が最も温かくなり、超音波の装置が熱を出すためだと述べます——養液の温度が上がる側の話です。
この例から読むこと: 手間と設備をいとわないなら霧の系が最もよい結果になりやすい、と動画は締めます。ただし、そろえて比べられたのはトマトで、葉物のレタスでは並ぶ数字が取れていません。同じ部屋に並べても水切れや打ち切りで条件は揃いきらないわけで、方式の名前ではなく作物と期間まで下ろして読むための一例になっています。