誤解図鑑
単純温泉は成分がうすい湯?(泉質と成分の誤解)
単純温泉は、成分がうすいのではなく、名前を決める主成分が規定量に届かないだけです。単純温泉という名前から、成分がほとんど入っていない湯だと受け取られます。掲示の泉質欄に成分の名前がひとつも並ばないため、塩化物泉や硫黄泉のように名乗る成分を持つ湯と比べて中身が乏しい湯だと読まれ、「ただのお湯」という呼び方も出てきます。…
冷たい水は温泉ではない?(泉質と成分の誤解)
冷たい水は、25℃未満でも温泉法別表の19物質の条件を満たせば温泉に当たります。浴槽が温かければ温泉、蛇口から出る水が冷たければただの地下水、という分け方です。掲示の泉温と気温の欄に25℃を下回る数字を見つけると、温泉ではないのに温泉と名乗っていると読まれます。加温をしている浴室では源泉の温度が湯からは分からないので…
炭酸泉と炭酸水素塩泉は同じ?(泉質と成分の誤解)
炭酸泉と炭酸水素塩泉は、名前は似ていますが決め手になる成分も見る欄も違う泉質です。「炭酸」の字が重なるので、炭酸泉と炭酸水素塩泉が同じ湯の言い換えだと読まれます。人工の炭酸浴や炭酸飲料の泡が思い浮かぶため、炭酸水素塩泉と掲示された浴槽でも肌に泡が付くはずだと期待され…
硫黄のにおいがすれば硫黄泉?(泉質と成分の誤解)
掲示の泉質名に硫黄泉と付くかどうかは、においの強さではなく総硫黄の量で決まります。浴室に入った時点であの卵のようなにおいがすれば硫黄泉、しなければ違う、という当て方です。硫化水素臭は薄くても鼻につくので、掲示を読む前に鼻のほうで泉質が決まってしまい、においの弱い硫黄泉ではうすい湯を引いていると受け取られます。…
ぬるつく湯はアルカリ性?(泉質と成分の誤解)
ぬるつく湯は、液性が湧出時のpH値だけで決まるため、アルカリ性の湯とは限りません。入った瞬間に肌がぬるつけばアルカリ性の湯、きしむ肌ざわりなら酸性の湯、という当て方です。ぬるすべという言い方は案内の文章でも使われ、肌ざわりが液性の言い換えとして扱われます。掲示を読まなくても湯の性格が分かる手軽さがあるので…
上がり湯で流すと成分が落ちる?(入りかたの誤解)
上がり湯は、環境省の掲示基準の但し書きで洗い流した方がよい場合も挙げられています。上がり湯で流すと温泉の成分が落ちてしまうので、湯から出たら流さずにタオルで拭くのが作法だ、という一律の言い方です。どの湯でも、どんな肌でも当てはまる決まりごととして伝わっていて…
かけ湯は汚れを流すためだけ?(入りかたの誤解)
かけ湯は、手足から湯をかけて温度に慣らすことと身体を洗い流すことを兼ねた作法です。かけ湯は、身体の汚れを浴槽に持ち込まないための礼儀だと教わります。浴室の貼り紙も、かけ湯をしてから入るようにと衛生の側だけを書くことが多く、他人のためにする作法として覚えられます。そのため、洗い場で身体を洗ってから浴槽へ向かう人は…
入浴時間は長いほどいい?(入りかたの誤解)
入浴時間は、初めを短くして慣れてきたら延ばす順序で環境省の掲示に書かれています。長く浸かっているほど湯を受け取れる、という数え方です。我慢して入っていた時間の長さが話題になり、早く上がった人は損をしたように語られます。一日に何度も入るほどよいという言い方も同じ形で、回数と時間の合計がその日の中身として扱われ…
湯あたりは好転のしるし?(入りかたの誤解)
湯あたりは、入浴を中止するか回数を減らす合図として環境省の掲示基準に載っています。温泉に通い始めて数日たった頃、体がだるい、眠れない、胃の調子が落ちるといったことが起きます。これを「湯あたり」と呼び、「湯が効きはじめた合図」や「体が入れ替わる途中の反応」として語る言い方が、宿の案内や口伝えで受け継がれてきました。…
水分は湯から上がってから?(入りかたの誤解)
水分の補給は、環境省の掲示基準では入浴前の注意にも入浴後の注意にも並んでいます。湯から上がったら水を飲む、という順番です。汗をかいたぶんを戻すのは湯上がりで、入る前に飲むと湯が薄まるとか、入浴中は喉が渇かないから要らないといった言い方も添えられます。脱衣所に置かれた自動販売機や、風呂上がりの一杯を挟む宿の案内も…
掲示の数字は今の浴槽の湯?(表示の誤解)
掲示の成分は、浴槽の湯ではなく登録分析機関が源泉から採取した湯を分析した値です。壁の分析書を読み上げて、目の前の浴槽の湯の話として受け取る読み方です。ナトリウムが何mg、pHがいくつ、泉温が何度と並んでいるので、いまつかっている湯の中身が、そのまま書いてあると考えます。紙の数字を持ち出して湯の濃さを比べる話も…
分析年月日は古くてもそのまま?(表示の誤解)
分析年月日は、温泉法施行令が定める10年ごとの分析の受け直しの起点になる日付です。分析書は一度取れば貼り替えなくてよい、という受け取り方です。日付が数十年前でも湯は変わらないのだから紙も変わらないと読み、古い日付を続いてきた年数のしるしとして受け取る見方もあります。逆に…
ラジウム温泉は泉質名?(表示の誤解)
ラジウム温泉は、掲示に並ぶ泉質名ではなく、ラドンの量で分かれる放射能泉の通称です。看板や施設の名にある「ラジウム温泉」が、そのまま掲示の泉質名だと思われています。ラジウムという物質が湯に溶けていて、その量で名前が決まると考えるからです。だから壁の分析書にも同じ語が並ぶはずだと思って探し…
泉質名が無ければ温泉ではない?(表示の誤解)
温泉法上の温泉かどうかは、泉質名の有無ではなく、温泉法別表の限界値で決まります。掲示に泉質名が見当たらないと、ここは温泉ではないのだと決められます。名前の付かない湯は、沸かした水に近いと考え、単純温泉と書いてあればまだしも、それも無い紙は格が下がると読みます。泉質名を湯の名札として見る習慣が…
