花頭窓
様式(和様・禅宗様・大仏様)
時代: 鎌倉
花頭窓は、上端が火炎のような曲線を描いて頂で尖る、禅宗様とともに入ってきた窓です。
建物・部材の特徴
上端が火炎のような曲線を描き、頂で尖る輪郭を持つ窓です。左右の枠が内側へ湾曲し、中央で持ち上がります。禅宗様とともに鎌倉時代に入り、仏殿や三門の上層に並びました。近世には和様の仏堂にも城の天守にも付くため、この窓一つで様式は決まりません。山口県の功山寺仏殿、東京都の正福寺地蔵堂、兵庫県の姫路城大天守に、鎌倉末から近世初頭までへだたる例がそろいます。山田美礼(2001)は谷中で、花頭窓のある寺院が約57%と報告します。
見分けの決め手
輪郭の左右が対称か、裾がどこまで開くかを見ます。古い形は縦の框が垂直に近く、窓の幅が上下でほとんど変わりません。時代が下ると裾が外へ広がり、曲線の山が低く横へ伸びる傾向が指摘されています。次に枠の中です。縦桟だけが並ぶものと、格子を組むものがあります。同じ建物でも上層と下層で形の違う例があります。京都府の慈照寺銀閣では、上層に並ぶ窓の輪郭が外からそのまま追えます。
属する様式
禅宗様の細部として伝わりましたが、属する様式を一つに決められない部材です。鎌倉から室町の禅宗の堂では詰組や扇垂木とひと組で現れ、そこでは禅宗様の指標になります。京都府の慈照寺銀閣は上層が禅宗様の仏堂、下層が住宅の造りで、窓もその境目に並びます。いっぽう近世の和様の本堂、城の天守、書院にも広く付き、窓だけを見ず、柱の足元と軒下をあわせて数えます。
取り違えやすい相手
窓ではなく通路にした火灯口と、まっすぐな竪桟を並べた連子窓が相手です。下端が床まで抜けているかを見ます。火灯口は同じ輪郭を出入口の上に用いたもので、人が通れる高さがあれば窓ではありません。連子窓は輪郭が四角く、縦の桟だけが等間隔に並びます。表記も割れており、花頭窓・火灯窓・華頭窓・瓦灯窓のどれを正とするかは定まっていません。どの表記でも、指している形は同じです。
立つ位置
窓へ寄りすぎず、正面から輪郭を一つ切り取って見ます。斜めから見ると曲線がゆがみ、裾の開きが読めません。兵庫県の姫路城大天守は上層の窓を見上げる形になり、角度が付くほど山が低く見えます。山口県の功山寺仏殿は縁の高さに窓が並び、正面の平場から輪郭がそのまま入ります。曇りの日は枠の影が薄く、框の傾きと裾の開きという古さの手掛かりを線でたどれます。
出典
- 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) kato 火灯(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
- 論文 山田美礼(武蔵野美術大学)(2001) 社寺建築の火燈窓に関する研究 : 谷中地区の社寺建築の実態調査から
