打込接
石垣の積み方と隅
時代: 安土桃山
打込接は、石の角や面を叩き落とし、接する面どうしを合わせてすき間を詰める積み方です。
用途
石の角や面を叩き落とし、接合する面どうしを合わせる積み方です。野面積では点でしか触れ合わなかった石が線と面で噛み合うため、加工に時間はかかりますが、同じ石でも壁をより高く急に立ち上げられます。打込接は加工の手間と排水性のバランスが良い、実用的な積み方だったとされます。表記は打込接ぎ、打込ハギとも書き、報告書によって送りがなが揃いません。熊本県熊本市の熊本城跡、島根県松江市の松江城、香川県丸亀市の丸亀城跡に、この段階の加工がまとまって残ります。
見分けの決め手
石の縁に、槌やのみで欠き取った直線の痕を探します。打込接では接する縁だけが平らに削られ、石の中ほどは自然の面のまま残ります。縁の加工は石の輪郭を多角形に見せるので、遠目には角ばった石が並んで見えます。目地は野面積より細くなりますが閉じきらず、残ったすき間へ薄い間詰石(懐石とも)が差し込まれます。同じ壁でも隅に近いほど加工が丁寧になるので、隅石の側と壁の中ほどの平石を分けて見ます。
年代
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いのあと、諸大名の築城が続いた時期に盛んに用いられたとされます。切込接は大坂の陣のあとに普及したとされ、打込接はその前の段階にあたります。天守の完成年が分かる城と石垣の加工を照らすのが確かめ方で、島根県松江市の松江城天守は慶長16年(1611年)の完成と伝わります。根拠は各自治体の石垣調査報告と発掘調査報告で、同じ城でも普請の時期ごとに積み方が変わるため、城全体を一つの年代でくくれません。
取り違えやすい相手
切込接が相手です。目地にすき間が残り、間詰石が入っているかどうかが境目になります。切込接は石の面を方形に整えて密着させるので、詰め石がほとんど要りません。打込接は縁だけの加工なので、細い目地と小さな詰め石が続きます。石の中ほどに自然の面が残っているかどうかも、二つを分ける手掛かりになります。下部が打込接、上部が切込接という積み直しもあり、上下で切り替わる線を先に探すと壁の履歴が読めます。二つの境界は明確とは限らず、見た目だけで決め切れません。
立つ位置
隅から数えて三つ目あたりの平石を、斜め横から見ます。隅石は加工が進んでいて壁全体の目安になりにくく、中ほどの石に加工の程度がよく出ます。香川県丸亀市の丸亀城跡は高い石垣が幾重にも重なる城で、見上げると同じ壁の中の加工の差まで分かります。石垣が高いほど下から順に普請の段階が積み重なるので、下段と上段を分けて眺めます。堀端や斜面の縁は足元が不安定なので、園路の内側から見る位置を選びます。
出典
- 資料 シビルNPO連携プラットフォーム(寄稿は測量・建設コンサルタント会社アジア航測の技術者) お城における土木の話(5)
- 動画 日本の城 Japan-Castle(お城解説チャンネル) 【お城の基礎講座】石垣の積み方|野面積み、打ち込み接ぎ、切り込み接ぎ、布積み、乱積み
- 動画 YUKIMURA CHANNEL(城郭解説チャンネル) 【城郭用語解説】石垣について
- 資料 城めぐり帖 城の石垣の種類と積み方|野面積みから切込接ぎまで
- 資料 blog.castle-journey.com 石垣とは?役割・種類・積み方と現地での見どころを解説
