手で試す
速さや形を1つ変えて、どう変わるかを見る。
見ているだけでは、同じ流れがなぜそう見えるのかまでは分からない。確かめる最初の一歩は、速さか形のどちらか一つだけを手で変え、変わるものと変わらないものを見ることだ。両方を同時に変えると、見えた違いがどちらのせいか切り分けられなくなる。
いちばん試しやすいのは散水ノズル(ホースの先)で、出口の形だけを切り替えられる。OpenStaxの大学物理の教科書は、毎秒0.5Lの水を半径0.9cmのホースから直径0.5cmのノズルへ流す例で、速さが1.96m/sから25.5m/sへ上がると計算する。断面を細くしただけで速さが増えるという関係が、そのまま手に伝わる。ところが同じ水道の圧のまま親指で先をふさぐと、話はそこで終わらない。Practical Engineeringが圧力計とバルブを使った実験で示したのは、絞ると出口の水は速くなっても、毎秒に出てくる量はむしろ減るということだ。ふさぐ前とふさいだ後は流れている条件そのものが変わっているので、「速さが上がった分、量も保たれる」とは言えない。絞った角でエネルギーが摩擦によって失われ、水道の決まった圧がその損失にどんどん使われてしまうため、流れ全体が遅くなる。
同じ「一つだけ変える」工夫は、紙飛行機でも効く。後ろの縁を少しだけ上へ折ると機首が上がり、折る角を一段ずつ増やしていくと、ある角度を境に急に失速して落ちる。折る角以外は変えずに繰り返せば、持ちこたえられる角度の境目を自分の手で探せる。ここで出る浮く力は、翼の上下を空気が同時に通るという説明(等時間通過の説)では出てこない。NASA Glenn Research Centerは、上下の長さが同じ対称な翼でも紙飛行機の平らな翼でも十分な揚力が出ると述べ、重要なのは距離の違いではなく空気の流れを曲げることだと説明している。
速さを一つだけ変えて比べたいときは、サーキュレーターのように毎回同じ強さの風を出せる道具が要る。うちわや窓からの風は毎回違うので、前の結果と比べられない。段を一つ上げて同じ位置で煙やリボンの動きを見比べれば、強さだけを変えた効果がそのまま読める。火を使えない場所では、霧吹きの細かい霧が煙の代わりになり、吹いた先の空気がどこへ流れていくかを粒の動きで見せてくれる。
手で試す段でいちばん多い失敗は、一度に二つ以上の条件を変えてしまうことだ。速さを変えたいなら形を固定し、形を変えたいなら速さを固定する。一つずつ確かめた変化は、次に「なぜ」を立てるときの材料になる。
