雲のかたち図鑑
巻雲(十種雲形)
巻雲は、離ればなれの白い筋が絹の光沢をまとって浮く、氷の結晶でできた上層の雲です。離ればなれのまま、筋として残るのがこの雲の姿です。気象庁『気象観測の手引き』は「繊維状をした繊細な、離ればなれの雲」と書き、一般に白色で、絹のような光沢を持っていると続けます。形は一つではなく、同じ表は羽毛状、かぎ形…
巻積雲(十種雲形)
巻積雲は、陰のない白く小さな雲片が群れて並ぶ上層の雲で、うろこ雲とも呼ばれます。雲片の見かけの幅が1度以下という細かさが決め手です。気象庁『気象観測の手引き』は「大部分の雲片の見かけの幅は1度以下である」と数字で線を引き、陰影はなく一般に白色に見えると書いています。並び方は同じ表の言葉で「うろこ状又はさざ波状」…
巻層雲(十種雲形)
巻層雲は、空を薄い白のベールでおおい、太陽のまわりに暈を出す氷晶の上層の雲です。気象庁『気象観測の手引き』の言い方は「薄い白っぽいベールのような層状の雲で陰影はなく、全天をおおうことが多く、普通、日のかさ、月のかさ現象を生ずる」です。膜が薄いので青空の色が透け、地上の影も消えずに残ります。繊維状の構造が見えるものと…
高積雲(十種雲形)
高積雲は、陰のある雲片が指の幅ほどの大きさで並ぶ中層の雲で、ひつじ雲とも呼ばれます。見かけの幅が1度から5度の雲片が、白と灰色の濃淡を持って並びます。気象庁『気象観測の手引き』は「小さなかたまりが群をなし、斑状又は数本の並んだ帯状の雲」と書き、「規則的に並んだ雲片の見かけの幅は…
高層雲(十種雲形)
高層雲は、太陽がすりガラスの向こうにあるようににじむ、空をおおいやすい中層の雲です。核になるのは太陽の見え方です。気象庁『気象観測の手引き』は「この雲の薄い部分ではちょうど、すりガラスを通して見るようにぼんやりと太陽の存在が判る」と書いています。輪郭のはっきりしない丸い明るみが雲の向こうに浮き…
乱層雲(十種雲形)
乱層雲は、暗い灰色の層で空を一様にふさいで太陽を隠し、雨や雪を降らせやすい雲です。気象庁『気象観測の手引き』の書き出しは「ほとんど一様でむらの少ない暗灰色の層状の雲」です。同じ項は「いずれの部分も太陽を隠してしまうほど厚い」と続き、太陽が空のどこにあるか分からなくなります。雲底は落ちてくる粒で霞み…
層積雲(十種雲形)
層積雲は、こぶしほどの塊が規則的に並んで空をおおう、毛状の外観の無い下層の雲です。見かけ上5度以上という大きさが目印です。気象庁『気象観測の手引き』は「規則的に並んだ雲片の大部分は見かけ上5度以上の幅を持っている」と書き、続けて「この雲には毛状の外観はない」と断っています。繊維の筋を持つ巻雲とは…
層雲(十種雲形)
層雲は、灰色の一様な層が霧のように低く空を覆う下層の雲で、地表に接すれば霧です。気象庁『気象観測の手引き』は「灰色の一様な層の雲で霧に似ている」と書き出し、「この雲を通して太陽が見えるときはその輪郭がハッキリ判る」と続けます。丸い縁がくっきり見えるかどうかが、ほかの層状の雲と分かれる点です。面は一様な灰色で…
積雲(十種雲形)
積雲は、底がほぼ水平で上面がドームの形に隆起する、対流でできる離ればなれの雲です。上はドーム、下は水平という上下の食い違いが見分けの軸です。気象庁『気象観測の手引き』は「垂直に発達した離ればなれの厚い雲で、その上面はドームの形をして隆起しているが、底はほとんど水平である」と書いています。…
積乱雲(十種雲形)
積乱雲は、雲頂が山や塔の形に立ち上がってほつれる、十種雲形で最も背の高い雲です。「垂直に著しく発達している塊状の雲で、その雲頂は山又は塔の形をして立ち上がっている」——気象庁『気象観測の手引き』の書き出しが、そのまま見た目になります。…
鉤状雲(雲の種と変種)
鉤状雲は、先端の濃い塊から尾を引いてかぎの形に曲がる、巻雲だけに付く雲の種です。頭に濃い塊があり、そこから細い尾が伸びて先が曲がる姿で、全体はコンマの字に似ます。WMO 国際雲図帳は鉤状雲を灰色の部分がない巻雲で、上端がかぎ状または房状に終わり、その上部は丸い突起の形をしていないものと定めています。巻雲の仲間のうち…
毛状雲(雲の種と変種)
毛状雲は、ほぼまっすぐな繊維が並び、端が塊にもかぎにもならない巻雲と巻層雲の種です。空を横切る細い筋が、ほぼ平行にそろって並ぶ見え方です。WMO 国際雲図帳は毛状雲を離ればなれの雲または薄い雲のベールで、ほぼまっすぐか、いくらか不規則に曲がった繊維からなり、かぎや房で終わらないものと定義しています。…
塔状雲(雲の種と変種)
塔状雲は、共通の底から小さな塔がいくつも立ち上がる種で、横から見ると列が際立ちます。一枚の底の上に、城の胸壁のような小さな塔が並んで立つ形です。WMO 国際雲図帳は上部の少なくとも一部に塔の形の突起があり、そのいくつかは幅より高く、共通の底でつながって列に並んでいるように見えるものと定義し…
レンズ雲(雲の種と変種)
レンズ雲は、凸レンズやアーモンドの形をした輪郭の明瞭な種で、山の風下に多い雲です。縁が薄く中央が厚い、輪郭のはっきりした凸レンズの形です。WMO 国際雲図帳はレンズやアーモンドの形をし、しばしば非常に細長く、たいてい輪郭が明瞭な雲。ときに虹色を示すと定義しています。この虹色は彩雲と同じしくみで…
扁平雲(雲の種と変種)
扁平雲は、背の低さが先に目につく平たい積雲で、上の安定層に頭を押さえられた種です。横の広がりが縦の高さに勝ち、上から押されたように平たい積雲です。WMO 国際雲図帳は扁平雲を垂直の広がりが小さいだけの積雲で、全体に平たく見えるものと定義しています。積雲の特徴である水平な底はそのままに、ドーム状の頭だけが低く抑えられ…
雄大雲(雲の種と変種)
雄大雲は、カリフラワー状の盛り上がりが上へ大きく伸びる、積雲で最も背の高い種です。上部が幾重にも膨らみ、カリフラワーの表面のように見えるのが目印です。WMO 国際雲図帳は雄大雲を強く突き上がる積雲で、輪郭はおおむね鋭く、垂直の広がりが大きいことが多いものと定義しています。日本で「入道雲」と呼ばれてきたのはこの段階で…
断片雲(雲の種と変種)
断片雲は、輪郭がちぎれてぼろぼろに見える雲片で、層雲と積雲だけに付く雲の種です。縁が毛羽立ち、輪郭が保てていないことだけがこの種の条件です。WMO 国際雲図帳の言い方は「不規則な切れ端の形をした、はっきりとぼろぼろに見える雲」で、大きさや色は条件に入っていません。実際には灰色から白の小片が低い所に散らばり…
波状雲(雲の種と変種)
波状雲は、雲層や雲片が平行な波の列に並んで見える変種で、固有の高さを持ちません。WMO 国際雲図帳の定義は「うねりを示す、斑状・層状の雲」です。一様な雲の面に濃い筋と薄い筋が交互に並ぶ形と、粒状の雲片が列をつくって並ぶ形の両方がここに入ります。同じ定義は「ときに二重の波の組が見られる」とも断っていて…
放射状雲(雲の種と変種)
放射状雲は、平行な帯が遠近のせいで地平線上の一点へ集まって見える、雲の変種です。空を横切る幅の広い帯が何本も並び、地平線へ近いほど間隔がつまって見えます。WMO 国際雲図帳の定義は「遠近の効果によって地平線上の一点へ収束して見える」もので、帯が空の端から端まで渡るときは向かい合った二つの放射点ができます。…
肋骨雲(雲の種と変種)
肋骨雲は、一本の背骨から左右へ枝が出た、魚の骨のような並びの巻雲だけに付く変種です。WMO 国際雲図帳の定義は「その要素が、脊椎・肋骨・魚の骨を思わせる並び方をしている雲」です。空を貫く一本の細い線が背骨になり、そこから左右へ短い枝がほぼ同じ間隔で出ます。枝が片側だけのこともあり、そのときは櫛の歯のように見えます。…
蜂の巣状雲(雲の種と変種)
蜂の巣状雲は、薄い雲に丸い穴が規則正しく並び、網や蜂の巣のように見える雲の変種です。WMO 国際雲図帳の定義は「たいてい薄い斑状・層状の雲で、ほぼ規則的に散らばった丸い穴が空き、その多くは縁がほつれている」です。雲のほうではなく、穴のほうが規則正しく並びます。一つ一つの穴は小さく、面としていくつも同時に見え…
半透明雲(雲の種と変種)
半透明雲は、雲を通して太陽や月の位置が分かる、薄さのほうの変種で、不透明雲の対です。WMO 国際雲図帳の定義は「広い斑状・層状の雲で、その大部分が太陽または月の位置を明かすに足るほど半透明なもの」です。輪郭のはっきりした円盤としてではなく、明るい場所として居場所が分かる状態が目安になります。…
かなとこ雲(飾りと付属雲)
かなとこ雲は、積乱雲の頂が横へ広がり、金床の形に平たくなった上部につける名です。上へ伸びていた雲の頂がある高さで頭打ちになり、そこから水平に広がって金床の形になります。広がった部分は滑らかか、繊維状か、条線状に見え、下の塊とは手ざわりが変わります。…
乳房雲(飾りと付属雲)
乳房雲は、雲の底から丸いこぶが袋のように垂れ下がって見える形の名で、成因は未定です。平らなはずの雲底に、丸いこぶがいくつも下向きに並びます。WMO 国際雲図帳の定義は「雲の下面にある、乳房のような垂れ下がった突起」で、表面が滑らかで、一つ一つの輪郭がはっきりしているのがふつうです。…
尾流雲(飾りと付属雲)
尾流雲は、雲底から降っているのに、途中で蒸発しきって地面には届かない降水の筋です。雲の底から下へ、斜めか垂直に伸びる灰色の筋が垂れ、その下端が途中でほどけるように消えます。WMO 国際雲図帳は尾流雲を「雲の下面に付いた、地表に届かない降水の筋」と定義しており、見えているのは落下中の雨の粒や氷の粒そのものです。…
アーチ雲(飾りと付属雲)
アーチ雲は、積乱雲などの前面の下に横たわる黒い弧で、冷気の先端の上にできる雲です。WMO 国際雲図帳の定義は「縁がややほつれた、濃い水平のロール」で、広がると「暗く不気味なアーチ」に見えるとしています。空の低いところを横切る一本の長い帯で、進んでくる側の縁が丸く盛り上がり、後ろ側はぼろぼろにちぎれます。…
壁雲(飾りと付属雲)
壁雲は、積乱雲の雲底の一部が局所的に下へ張り出し、その場に居座る壁の形の雲です。WMO 国際雲図帳2017年版の定義は「積乱雲の雲底から局所的に、持続して、しばしば急に下がった部分で、そこから漏斗雲が生じることがある」です。雲底の面から四角い塊が一段だけ下りたように見え、輪郭がはっきりしていて、その場に居座ります。…
漏斗雲(飾りと付属雲)
漏斗雲は、雲底から垂れ下がった細い管の雲で、激しい渦のうち凝結した部分の姿です。形は逆さの円錐か、まっすぐな柱で、雲底から下へ突き出します。気象庁『気象観測の手引き』は「漏斗状の雲の軸は鉛直か又は傾いている。ときには曲がりくねっていることもある」と記しています。根元が太く先へ細るのが典型で…
頭巾雲(飾りと付属雲)
頭巾雲は、伸びていく積雲や積乱雲の頂の上にかぶさる、薄い帽子の形をした付属雲です。つるりとした薄い膜が、盛り上がる雲の頂に笠のように乗ります。輪郭はなめらかで、縁が虹色に色づくことがあります。色づいて見えるときの正体は薄い膜の水滴が光を回折させた彩雲で、色は縁のごく薄い部分に限って出ます。WMO 国際雲図帳は…
穴あき雲(飾りと付属雲)
穴あき雲は、薄い雲の面にぽっかり空いた丸い穴で、穴の中心からは氷の筋が垂れます。WMO 国際雲図帳2017年版の定義は「過冷却の水滴でできた薄い雲層に開いた、はっきりした、おおむね円形(ときに線状)の穴」です。真上から見れば円、遠くから見れば楕円に見えます。穴の中心からは尾流雲か巻雲状のすじが垂れ…
飛行機雲(特別な雲)
飛行機雲は、エンジンの排気が上空の冷たい空気で冷えてできる、氷の粒の線状の雲です。機体から翼幅ほど後ろに離れたところで、白い線が生まれます。線ははじめ細く縁がくっきりしていて、やがてほどけて幅を持ちます。米国環境保護庁ら 2000 は、持続するものが幅数km、厚さ200〜400mまで広がり…
笠雲(特別な雲)
笠雲は、山頂に笠をかぶせたように留まる雲で、凝結と蒸発が同じ場所で釣り合っています。山頂を覆う一枚の笠に見えます。筑波大学の日下博幸らは富士山を囲むライブカメラ7台で2019年1月から2021年12月まで観測し、笠雲の主要な型が山頂に接する「接地笠」だと示しました(Weather誌、2025年)。…
つるし雲(特別な雲)
つるし雲は、山の風下側に離れて浮かぶレンズ状の雲で、山岳波の上昇部分が雲になります。山から離れた空中に、輪郭のはっきりした塊が横たわって見えます。中央がふくらみ、両端へいくほど薄くなる断面で、下から見上げると皿を伏せた形になります。筑波大学の日下博幸らが富士山で3年間続けたライブカメラ観測では…
火災積雲(特別な雲)
火災積雲は、火事や噴火の熱がその場に立てる積雲で、煙の柱の上に白い雲の頭が載ります。灰色の煙の柱の上に、輪郭のはっきりした白い塊が載って見えます。下半分は煙や灰で濁って光を通さず、上半分は水滴でできた雲の白さになります。境目はほぼ水平で、そこから上だけがカリフラワー状に膨らみながら伸びます。…
