ナナカマド

街路樹

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 秋(9〜11月)

ナナカマドは、赤い実の房が葉の落ちたあとも枝に残る、北海道に多く植わる街路樹です。

ひと目の手がかり

手がかりは、小さな葉が軸の左右に並んで一枚の葉のように見えることです。先端に一枚が残り、小葉の数は奇数になります。秋から冬は枝先に上を向いてつく赤い実の房が目印です。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』の令和3年度末の数字は16万5074本ですが、同じ資料は北海道の地域的な特色として挙げており、暖かい地域の街ではまず出会いません。標高の高い土地でも植えられます。

葉と樹皮

一枚の葉は長さ15〜20cmほどの軸に小葉が9〜15枚並び、先端の一枚で終わります(単葉と複葉)。小葉は細長く、ふちに鋸歯が先までびっしり入ります。軸ごと落ちるので、落ち葉が細い葉の集まりに見えたら複葉です。樹皮は灰褐色でなめらか、横向きの皮目が点々と並びます。太ると浅く縦に裂け、若い枝は赤みを帯びます。葉の裏はやや白く、風で裏返ると木全体が明るく見えます。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

5月から7月に白い小さな花が平らな房になって咲き、房ごと上を向きます。実は9月ごろから色づき、直径5mmほどの赤い粒が数十個ずつ固まります。紅葉は小葉が一枚ずつ橙から赤へ移り、葉が落ちたあとも実の房は冬まで枝に残ります。雪の上に赤が残るのが寒い地方の冬景色です。森林総合研究所の樹木図鑑では、名は材が燃えにくく、かまどに七度入れても燃え残ることに由来するとされます。

触れたときに起きること

葉・樹皮・実で、かぶれの報告は知られていません。つぶれた実の汁は赤く、手や衣服に色が残るので、触れたら早めに石けんで洗います。とげはなく、枝を折っても粘る樹液は出ません。ただ、同じ属のセイヨウナナカマドの生の実には、大量に口に入ると胃を荒らすパラソルビン酸が含まれると2023年の総説は述べるので、実は口へ運びません。羽状複葉の木にはかぶれるものが混じるため、葉の形だけで決めて手を伸ばさないところです。

まちがえやすい木

いちばん紛らわしいのは、同じ羽状複葉で紅葉も赤いヤマウルシです。小葉のふちを見ます。ナナカマドは先まで細かい鋸歯が並び、ヤマウルシはふちがほぼなめらかで、葉軸が赤みを帯びます。科も別で、ナナカマドはバラ科、ヤマウルシはウルシ科です(森林総合研究所)。ヤマウルシは樹液のウルシオールでかぶれを起こすため、詳しくはオトモキャンプのウルシの記事にゆずります。実は、ナナカマドが上向きの房、ヤマウルシは下がる房です。

出典

  1. 公的機関 森林総合研究所 九州支所 ナナカマド(九州支所樹木園 樹木図鑑)
  2. 公的機関 森林総合研究所 九州支所 ヤマウルシ(九州支所樹木園 樹木図鑑)
  3. 論文・英語 Arvinte OM, Senila L, Becze A, Amariei S(2023) Rowanberry—A Source of Bioactive Compounds and Their Biopharmaceutical Properties