ムクドリの幼鳥と成鳥

季節で姿が変わる組

ムクドリの幼鳥と成鳥は、頬から額に白い斑があるか、顔まで淡い灰褐色かで分かれます。

並べる2種

並べるのは、夏の群れにいるムクドリの幼鳥と成鳥です。成鳥は頬から額にかけて白い斑があり、体は黒褐色で光沢を帯び、光の当たり方で緑や紫を含んで見えることもあります。巣立ったばかりの個体は全体が淡い灰褐色一色で、顔の白い模様がありません。巣立ちは初夏に集中するので、夏の芝生や電線にはこの二通りが同じ群れで並びます。同じ場所に両方いることが、そのまま見比べる材料になります。

決め手になる1点

決め手は嘴と脚の橙色です。ムクドリは幼いうちから嘴と脚が橙色で、羽の色がどれだけ淡くても、ここが橙なら種のほうが先に決まります。種を決めてから顔を見て齢を分けます。頬に白い斑があれば成鳥、顔まで一様に淡ければ幼鳥です。地面を突ついて歩く動きは齢によらず共通なので、群れが芝生に降りたときは足元だけを見ても種は分かります。色の淡い一羽で迷ったら、同じ群れの個体と嘴の色をそろえて見比べます。

見る点が使えない条件

秋の換羽で差が消えます。幼鳥の羽は夏の終わりから秋にかけて成鳥の羽に入れ替わり、顔の白い斑も出てくるため、年が明けた群れでは齢を色で分けられません。大阪の集団ねぐらで抜け落ちた羽を集めた奥田ら2019年の調査では、幼鳥の風切羽の換羽は成鳥より遅れて進むと報告されています。夕方の集団ねぐらでは逆光で色が飛び、橙色さえ出ません。群れが黒い塊に見える距離では、齢どころか種の判断まで外れます。

よくある取り違え

淡い個体を見慣れない別の鳥だと思う取り違えが最も多く、灰色一色の姿からヒヨドリの名が挙がることがあります。ヒヨドリは嘴が細く黒っぽく、尾が長いので、嘴と脚の色を見る手順のままで分かれます。この二種そのものの分かれ道はヒヨドリとムクドリに置いてあります。地面を歩く姿からハクセキレイの若い個体と迷う例もあり、尾を上下に振るかどうかで見当がつきます。

決められないときの引き下がり方

群れに成鳥が混じっておらず、比べる相手がいないときは齢を決めないでおきます。幼鳥と書き切らずに「ムクドリ、齢は不明」と残しておけば、後から同じ場所で見比べる材料になります。近づいて顔を確かめようとしないのもここでの引き下がり方で、群れは人が寄れば飛び、確かめる前にいなくなります。数だけ数えて内訳を空けておく形でも、その日の記録としては足ります。

出典

  1. 論文 奥田幸江・奥田幸男, 山階鳥類学雑誌(2019) 集団塒で採集した羽毛から調べたムクドリの風切羽と尾羽の換羽