空を記録する
日時・方角・雲の種類の残し方。
空の記録は、あとで読み返せる形にして初めて記録になる。残すのは5つで、日時・場所・向いた方角・空を覆う雲の割合・雲の名前でよい。気象庁の沖縄気象台は、庁舎の屋上から職員が雲量・雲形・高度・移動方向を観測すると書いている。4つのうち高度を外し、代わりに日時と場所を足せば、個人の記録になる。NASA が後援する観測計画 GLOBE は、スマートフォンで空を記録する道具を公開し、位置・全天の雲量・地表の状態を必須の項目、雲形・不透明度・見通し・写真を任意の項目としている。落とすと後から補えないのは場所と雲量で、雲の名前は任意に回されている。
書く順番を決めておくと、空を見ている間に迷わない。WMO 国際雲図帳は、地上からの雲の観測の手順を5段に並べている。はじめに全天の雲量を見積もり、次に空にある雲を属ごとに見分ける。続いて属と層それぞれの量を見積もり、雲の高さを測り、最後に動く方向を見当づける。名前を先に決めようとすると、迷った時点で手が止まる。量から入れば、名前が分からない日も記録は残る。
雲量は、全天を10として雲が占める割合で表す。気象庁の国際式の記入方式も、全天を10とした割合に応じた記号で雲量を書くと説明している。数え方に慣れないうちは、GLOBE の雲量の解説が使う6段の区切りが助けになる。雲なし・0〜10%・10〜25%・25〜50%・50〜90%・90%超の6段に分かれ、同じ解説は、空を東西南北の4つに分けて区画ごとに見積もり、4つを平均する数え方をすすめている。WMO 国際雲図帳は、全天を見渡せる開けた場所から見積もるものとし、山・霞・煙で空の一部が隠れるときは、見える範囲から見積もると書く。層が重なるときは、層ごとの量の合計が全天の雲量を超えることもある。
日時は、日付と時刻を分まで書く。気象庁の日本周辺域の実況天気図は、3・6・9・12・15・18・21時の観測をもとに作られ、観測時刻の約2時間10分後に発表される。記録の時刻をこの7つに寄せておくと、あとで同じ時刻の天気図と並べて読める。方角は、見上げた向きと、雲が動いていった向きの2つを書く。気象庁の国際式の記入方式は風向を36方位で示すが、個人の記録なら東西南北と、その間を足した8方位で足りる。向きが分からなくなる場所では、方位磁針で北を取ってから書く。
写真は、文字の記録を補う形で残す。GLOBE の観測の案内は、北・南・東・西の4方向と、上と下の計6枚を撮ると書き、自動撮影では地平線から14度上の角度に構えさせる。同じ案内は、腕を前に伸ばして目の高さに上げた手で、その角度を近似できると添えている。案内の解説記事を書いた Holli Kohl 氏は、端末を横向きにして空を広く入れること、15度傾けて雲を主に写すこと、空がよく見える場所を選ぶこと、人を写さないことを挙げている。地面を1枚撮るのは、雪や砂のような明るい地面と雲を、衛星から見て取り違えないためだと案内は説明する。同じ場所と同じ構図で続けるなら三脚、空を一度に収めるなら魚眼レンズ、雲の縁の細かな形を見るなら双眼鏡が助けになる。太陽本体を直接見ない。双眼鏡やカメラを太陽に向けない。
初めのうちに起きやすい失敗は3つある。1つめは、雲の名前が決まるまで何も書かないこと。名前は後から図鑑で確かめられるが、雲量・方角・時刻は、その場でしか書けない。2つめは、空の一部しか見えない場所で、全天の雲量を書いてしまうこと。見えない範囲があるなら、見える範囲から見積もったと一言を添える。3つめは、写真だけを残して文字を書かないこと。向きと時刻の無い写真は、数日たつと並べ替えられなくなる。
