草木を見る楽しみの全体像

気づく・見る・調べる・触らないがどうつながるかを一望する。

草木を見る楽しみは、気づく→見る→調べる→触らないという一つの輪でつながっています。身構えずに始められ、最初の相手は通り道にある木で十分です。イチョウのように扇形の葉が一枚落ちているだけで名前が決まる木は、気づく段のよい練習相手になります。足元に落ちた葉を一枚拾って広げるだけで、輪の最初の一歩が動き出します。

見る段は、特徴を一度に全部確かめようとせず、決めた順になぞると迷いが減ります。ミシシッピ州立大学エクステンションの案内では、節・芽・葉柄という葉のつき方を言い表す基本語を覚えたあと、葉が枝に対して互い違いか向かい合いかという付き方、ふちがなめらかか鋸歯状か切れ込みがあるかという縁の形、落葉するか常緑かという性質、大きさや色、樹皮や花・実、樹形という順で見るよう勧めています。ハクモクレンのような公園木でも、この順を一つずつなぞれば、全体を漠然と見るより候補が早く絞れます。

見て確かめた手がかりを図鑑やアプリに当てて候補を絞るのが、調べる段です。ヒラドツツジのように刈り込まれて形が変わった生垣の木は、樹形だけでは判断しづらく、葉の並びやふちの形まで確かめてから調べるほうが外れが減ります。候補が複数残ったときは、花や実がつく季節にもう一度見に戻ると答えが決まることもあります。

見る・調べるの段と並んで欠かせないのが、確かめる前は触らないという一線です。メリーランド大学エクステンションの資料は、北米のポイズンアイビー(ウルシ科)について、かぶれの原因になる油分が触れてから約10分で皮膚に入り込むとされるため、触れたらすぐに流水で洗うこと、保湿成分を含む石けんは油を広げるおそれがあるため避けること、燃やすと煙でも症状が出るおそれがあるため燃やさないことを勧めています。国内でもカナムグラのように茎のとげでこすれて傷になる草や、ドクダミのように触れたときの扱いが図鑑に載っている草があり、名前が分かるまでは手袋をするか触れずに見るのが安全です。

カラスノエンドウのような春の草から始め、ヨモギのような秋冬の草、セイヨウタンポポのような外来の草まで、季節ごとに気づく・見る・調べる・触らないの輪を繰り返すうちに、立ち止まって確かめる時間が短くなっていきます。似た種の見分けや、葉の無い時期の判断は、この4段がひと通り身についたあとに進む次の段です。

この節に出てくる図鑑の項目

出典