最初に覚える木
通り道に必ずある木を、最初の1本にする。
最初の1本は、遠くまで探しに出かける必要はありません。毎日歩く通り道に必ず立っている木で十分です。イチョウやケヤキのように、全国の調査で高木の中でも本数の多い木は同じ道に何本も並んでいることが多く、1本で見分けに迷っても、隣の同じ木で手がかりを確かめ直せます。季節が変わるたびに同じ木を見返せるのも、通り道にある木ならではの利点です。珍しい木を探し歩くより、往復のたびに確かめられる木のほうが、最初の1本として続けやすい相手です。
候補を絞る最初の分かれ目は、葉が枝にどう付くかです。米国ニューハンプシャー大学エクステンションのTutein氏による解説は、冬に木を見分ける手がかりを枝の付き方・冬芽・樹皮の3点にまとめ、枝が向かい合ってつく対生の木はカエデやトネリコ、ミズキなど一部の仲間に限られるため、枝の付き方を見るだけで候補をかなり絞れると述べています。通りの木でも、トウカエデやイロハモミジは葉が向かい合う対生で、葉の形は似ていても一枚ずつ互い違いにつくモミジバフウとは、この一点だけで分かれます。
季節を問わず使える手がかりを探すなら、常緑樹が有利です。クスノキは葉をもむと樟脳の匂いが立ち、紅葉や花の季節を待たずに一年のどの日でも確かめられます。最初の1本に常緑樹を選べば、見分けの練習をいつでも始められ、落葉樹のように花や実、紅葉という季節限定の手がかりを待つ必要がありません。常緑樹で1つの決め手に慣れておくと、落葉樹を覚える段に進んだときも、同じ順番で手がかりを探す練習になります。
やりがちな失敗は、葉の形・樹皮・花と実を一度に全部覚えようとすることです。見る段の基本は、まず1つの決め手を覚え、迷ったときだけ次の手がかりに進む順番です。1本の木を四季を通して見返し、同じ決め手がどの季節でも使えるかを確かめてから、次の1本に移ります。最初の1本に自信が持てれば、ハナミズキやクロガネモチのように季節ごとに違う手がかりを持つ木にも、同じ順番で目を向けられるようになります。
