触る前に確かめる
触ってよいかを見分ける、最初の注意。
草木を見るとき、手を伸ばす前に決めるのは、触らずに見て済ませるか、覆いをしてから触るかの二択です。葉の形・付き方・ふちは、落ちた一枚を地面の上で見るだけでも確かめられます。植物による接触皮膚炎をまとめたSheehanのレビューは、35万種を超える植物が記録され、人は日々植物に触れていると書き、刺激物とアレルゲンを整理する枠組みを示しています。覚えきれない数が前提なので、名前を言える草木だけに手を伸ばし、名前の分からないものは目で見るところまでで止めます。
触らずに見る段で探すのは、折れた茎からにじむ汁、葉や茎の毛とトゲ、羽状に並ぶ小葉の3つです。トルコ東部と南東部の皮膚科を受診した34人を追った前向き調査では、刺激性が25人で最も多く、光毒性が7人、アレルギー性が2人でした。素手で触れて起きるのはアレルギー性接触皮膚炎だけではありません。感作がなくても量と時間で起きる刺激性接触皮膚炎、汁の付いた肌に日が当たってから出る光毒性接触皮膚炎、数分で膨疹が盛り上がる接触蕁麻疹まで幅があり、ウルシ科の樹液に含まれるウルシオールは乾いた樹液や煙からも起こります。
触ると決めたら、覆いを先に着けます。屋外で働く人への基本は、長袖・長ズボン・靴・手袋で肌を覆うことです(米国NIOSH)。手はニトリル手袋を一枚挟み、前腕はアームカバーで覆います。樹冠を見上げる姿勢では枯れ枝や樹皮の細片が真下に落ちてくるので、保護メガネとつば広の帽子を先に着けます。茎や葉柄を折らず、生垣の中へ手を差し入れないだけでも、汁に触れる場面が減ります。
触れてしまったあとは、洗うまでの時間が結果を分けます。北米のポイズンアイビーの油分は触れてから約10分で皮膚に入るとされ、流水で洗うのが先で、保湿成分や浴用油を含む石けんは油を広げるため避けます(メリーランド大学エクステンション)。洗う液が肌の上で乾くと油が広がるため何度もすすぎ、爪の間はブラシでこすり、触れた衣類は分けて熱い湯と洗剤で洗い、道具も洗います(米国NIOSH)。石けんの置かれていない手洗い場では携帯用の紙石けんが使え、服に残った毛や粉は衣類用の粘着クリーナーで剥がします。
やりがちな失敗は3つあります。1つ目は、その場で何も起きないことを安全の証拠にすることです。北米のポイズンアイビーでは、触れてから12〜48時間後に敏感な人へ線状の発疹が出て、アレルギー反応が2週間後に現れることもあります(メリーランド大学エクステンション)。2つ目は目をこすることです。Kokらの症例報告では、庭仕事でトウダイグサ科の汁を浴びた76歳の男性に、受診時に右目の角膜のむくみと上皮の点状の染まりがあり、48時間のうちに左目へも広がって、3週間で両目とも大きく改善しました。著者らは、片目だけに症状が出ていても両目を洗い流すよう勧めています。手当ては汁が目に入ったときにまとめています。3つ目は刈った枝を燃やすことで、ウルシ科と思われる枝の煙を吸うと重い呼吸器の症状が出るおそれがあります。枯れた株も2年ほどは反応を起こし、ウルシオールは物の表面で最長5年にわたって活性が残るとされます(メリーランド大学エクステンション・米国NIOSH)。始末は刈った草と剪定枝の始末に沿います。
