収入と経費を残す
最初から残しておく記録と書類。
最初の1件を受ける前に、お金の出入りを分ける。副業の入金と支払いは屋号と事業用口座に通し、現場で受け取る現金は現金封筒・小口現金ケースへ移すと、生活費と混ざらない。口座の開設や業務委託の契約書では押印を求められることがあるので、印鑑・朱肉も先に手元へ置く。残す作業の順番は、分ける・取引ごとに証拠を残す・月に一度まとめる・年に一度申告する、の4段になる。
帳簿に書くのは、取引の年月日・内容・相手先・金額の4つ。業種によっては、売上を1件ずつではなく日ごとや月ごとの合計でまとめる簡易な方法も認められる。記帳と保存の義務は、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業を行う人にあり、青色申告と白色申告のどちらを選んでも、確定申告が要らない年でも外れない(国税庁)。副業の稼ぎが雑所得にとどまる段階でも、前々年分の業務に係る収入が300万円を超えると現金預金取引等関係書類の保存が要り、1,000万円を超えると確定申告書に収支内訳書などの添付が要る(国税庁)。記帳の有無は雑所得と事業所得の分かれ目を説明する材料にもなるので、区分を決めあぐねている段階こそ残しておく。
青色申告では、帳簿と書類の保存は原則7年で、請求書・見積書・納品書・送り状のように5年でよいものもある(国税庁)。数年単位で抱える前提なので、レシートを箱に溜める形は続かない。ドキュメントスキャナで週に一度流して日付と金額から探せる形にし、帳簿と納品物の控えは外付けドライブ(バックアップ)へ写しておく。
青色申告を選ぶなら、期限が先に来る。承認申請書は、青色申告をしたい年の3月15日までに税務署へ出し、1月16日以後に開業した年は業務を開始した日から2か月以内に出す(国税庁)。青色申告特別控除の55万円は、複式簿記での記帳と、貸借対照表・損益計算書を添えた期限内の申告が条件になる。65万円へ上げるには、優良な電子帳簿の要件を満たす保存か、e-Taxでの送信が要り、画像データでの送信は認められない(国税庁)。
経費は、売上との結びつきを説明できるかで決まる。家事上の経費は原則として必要経費にならず、事業に関連する部分を明確に区分できるときだけ、その部分が経費になる(国税庁)。家事按分の割合は、床面積や使用時間のように後から示せる根拠で出す。オタク会計士chの山田真哉は、収入600万円のイラストレーターが、高性能のパソコン・高額のセミナー・別に借りた仕事部屋を経費に積んで課税所得を0にしたあと、税務調査を受けた例を挙げている。パソコンは減価償却を取らず買った年に全額を落としていた点と、自宅の作業場の家賃を75%で按分し続けていた点が崩れ、所得税・住民税・国民健康保険料で3年分あわせて200万円を納めることになったと話す。経費になるもの・ならないものの判断は、買った日に用途を一言書き添えるほうが、半年後に思い出すより確かだ。
やりがちな失敗は3つある。1つは、本業の財布と混ぜて現金の行き先を追えなくすること。2つめは、仕入れた代金をその年に全部落とすこと。事業所得の必要経費に挙がるのは仕入れ額ではなく売上原価なので(国税庁)、年末の売れ残りは在庫と売上原価の計算に回る。3つめは、赤字の扱いを所得の区分で取り違えること。雑所得の計算で出た損失は、ほかの所得と損益通算できない(国税庁)。赤字と損益通算を当てにして機材をそろえる前に、どちらの区分で申告するのかを決めておく。残す形が決まっていれば、会計ソフトでの記帳に月末の30分を当てるだけで、申告の時期に探し物をしなくなる。
