初めてで起きやすい失敗

口約束・安請け合い・記録なし・規則の未確認、の防ぎ方。

最初の1件を受ける前に決めるのは、仕事の範囲・納期・報酬と支払期日・修正の回数・中止の扱いの5つ。後ろの3つは範囲と納期から逆算して決まるので、順番を入れ替えると見積もりが出ない。業務委託契約では、発注側に取引条件を書面か電磁的方法で明示する義務があり、口頭だけの伝達は認められない(公正取引委員会)。明示する項目は、双方の名称・委託した日・給付の内容・納品や作業の期日・納品場所・報酬の額と支払期日。報酬の支払期日は給付を受領した日から60日以内で、具体的な日を特定して定める(公正取引委員会)。明示の義務はフリーランスを守る法律で発注側に置かれている。契約書が無いまま始まる案件は、受ける側の遠慮の問題ではない。契約書と発注書のどちらかを先に受け取り、届かないなら発注の内容をメールへ書いて確認を取る。

本業の規則は、最初の1件を探す前に読む。モデル就業規則は、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できると定め、許可制から届出制へ改められている(厚生労働省)。禁止や制限が認められるのは、労務提供上の支障・企業秘密の漏洩・会社の名誉や信用を損なう行為・競業による利益の侵害の4つの場合(厚生労働省)。届け出る方法は就業規則に書いてあり、内容に問題が無ければ双方の疑義を防ぐ合意書を作る。労働時間は事業場が異なっても通算されるので(労働基準法第38条)、本業と副業を足して法定時間を超えると、割増賃金や上限規制の話が本業の側にも及ぶ。規則を読まずに始めた副業は、減給や出勤停止の懲戒処分につながる(社労士が解説するマイナビ転職のチャンネル)。年に1〜2回の他社のアルバイトを理由にした解雇は違法とされ、競合会社の取締役に就いた幹部の解雇は有効とされた(越水はるか弁護士-守りの経営ch)。解雇や処分の当否は、本業への支障と競業の有無で分かれている。

安請け合いは、範囲の書き方で防ぐ。「デザイン一式」のような言い方を避け、納品物の数・形式・修正の回数を数で書く。範囲の外に出る頼みは断るのではなく、別の見積もりとして出す。小さな範囲外の作業を無料で続けると、時間と仕事そのものの値踏みが下がる(ウェブ制作の仕事を売る立場で話す Payton Clark Smith)。契約や作業指示書で期待と境界を先に書き出す形は、思い違いを減らす(フリーランスのコピーライター Alex Cattoni)。ここを飛ばした案件には、契約範囲外の追加作業と際限のない修正要求が同時に来る。時間あたりの実入りが相場から外れた低単価の水準まで落ちるのは、報酬ではなく範囲が崩れたときだ。成果に責任を持つ型か、時間を提供する型かは請負と準委任の違いで変わるので、引き受ける前に確かめる。

記録は、もめてからでは作れない。電話や打ち合わせで決めたことは、その日のうちに要点をメールへ書いて送り返す。やり取りを複数の連絡手段へ散らさず、1つの場所にまとめて残す。仲介のサイトを通した仕事を場外への直接取引の誘導に乗って外へ移すと、記録と入金の保証がまとめて切れる。手伝う人を入れる前に、損害賠償と再委託の扱いを契約で確かめる。断りのない再委託を禁じる条文は、業務委託の契約書に珍しくない。

約束が守られないときは、1人で抱えずに外の窓口を使う。フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省の委託を受けて第二東京弁護士会が運営し、相談は無料で匿名でもよい。受付は平日の9時30分から16時30分で、電話・メール・予約制のビデオ通話から選べる。「口頭でのやりとりばかりで契約書を作ってくれない」ような相談も対象で、報酬の未払いやあいまいな契約を扱う。ハラスメントや募集情報の表示のような就業環境の側は、都道府県労働局雇用環境・均等部が窓口(厚生労働省)。受ける前の確認と、決めたことを文字にする習慣で、4つの失敗はまとめて減る。

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