値動きと見返りの関係
値動きの幅と期待できる見返りが、対になっている仕組み。
投資のリスクとリターンは、値動きの幅とその対価として2つで1組になっている。見返りの数字だけを単独で見て判断すると失敗しやすいので、まずこの対になった仕組みを前提に置く。
リスクが大きいものほどリターンも大きい「ハイリスク・ハイリターン」、リスクが小さいものほどリターンも小さい「ローリスク・ローリターン」の傾向があり、大きな収益を期待すると大きな損失の可能性も高まる(資産運用業協会)。株式・債券・現金同等物の3つのうち、株式がもっともリスクが高くもっともリターンが高い傾向にあり、大型株は平均しておよそ3年に1回は損失を出してきたが、長く持ち続けた投資家はおおむね正のリターンを得てきた(米国証券取引委員会)。
ここで見落としやすいのは、振れ幅には上がる方向も含まれるという点だ。フィッシャー・インベストメンツ(資産運用会社)の動画でケン・フィッシャーは、相場が上がる振れを「良いこと」、下がる振れだけを「ボラティリティ」と呼びがちだが、どちらも同じ振れ幅の一部で、長期の大きなリターンは下がる振れを受け入れなければ得られないと説明している。
次に、見た目のリターンの数字だけで判断しないようにする。「年率7%期待できます」という説明だけでは実際にどの範囲に収まりやすいかが分からない。両学長(リベラルアーツ大学)は、リターンから標準偏差(リスク)を引いた値からリターンに標準偏差を足した値までの範囲に、約70%の確率で収まるという考え方を示している。幅を具体的な数字で見る習慣をつけると、同じ「期待リターン○%」という説明でも商品ごとの違いが見えてくる。
幅を数字で見られるようになったら、比べ方を広げる。同じ振れ幅でどれだけ稼げたかはシャープレシオで比べられ、実際に通った一番深い落ち込みは最大ドローダウンで確かめられる。複数の資産を組み合わせるときは、相関の低い資産を混ぜると、振れ幅だけを選んで抑えられることがある。
よくある失敗は、過去の平均のリターンを保証だと思い込み、幅の存在を忘れることだ。期間が短い目的には値動きの小さい資産を、期間が長い目的には値動きの大きい資産を受け入れやすい(米国証券取引委員会)。リスクとリターンは、どちらも欠かさずに確かめてから、自分の目的に合う組み合わせを選ぶ。
