初めてで起きやすい失敗
勧められるまま買う・一度に入れる・下がって売る、の防ぎ方。
初めての失敗は、知識の量ではなく決める順番から生まれる。勧められるまま買う、手元の資金を一度に入れる、下がったところで売る。この3つは別々に見えて、自分で決める基準を先に作っていない一点で繋がっている。基準を紙に書いてから入金すれば、3つとも防げる。
勧誘は、断るより先に確かめる。金融庁は、SNS上の偽アカウントや偽広告が著名人を装い、メッセージアプリのグループへ誘い込んで入金を求める手口を挙げ、取引の相手が金融商品取引業の登録を受けているかを確かめるよう呼びかけている。無登録のまま営業して警告書を出された業者の名称は、金融庁が一覧で公表している。ただし掲載は警告の時点で確認できた者に限られるので、名前が無いことは安全の証明にならない。国民生活センターが2026年9月に公表した相談事例では、振込先が毎回違う個人名義の口座だった、出金のときに税金や手数料の名目でさらに入金を求められた、という経過が並ぶ。指定された口座が個人名義なら詐欺だ(国民生活センター)。元本保証をうたう勧誘・SNSの投資グループ・著名人になりすました広告は、入口が違うだけで同じ順路をたどる。
一度に入れる失敗は、金額の決め方で防ぐ。金融庁は資産形成の基本として長期・積立・分散の3つを挙げ、積立投資を、一括ではなく決まった金額を続けて投資することと説明する。分散は、値動きの異なる複数の資産に分けて価格の変動をある程度抑える考え方とする。家計管理では、給料日に一定額を自動で貯蓄用の口座へ移し、残りでやりくりする(金融庁)。バンクアカデミー(投資教育チャンネル)は、投資をしていて不安になることが多いなら、リスク許容度を超えた額を入れている場合が多いとして、投資額を減らすか、リスクの低いものに変えるよう勧めている。
下がって売る失敗は、売る条件を先に決めることで減らせる。人は相場が上がって値段の高いときだけ安心して買い、怖くなったときに売るので、高く買って安く売ることになる(投資の解説チャンネルのトム・クロスヒル)。4時間の売買の模擬体験のあとに初心者15人へ半構造化の面接を行った調査では、損失のあとの反応が、買い直して取り返そうとする修復の動きと、売って手を引く防御の動きに分かれた(フィネらの論文)。著者らは、分かれ方が全員に当てはまるわけではなく、反例もあると断っている。
値下がりそのものより、値下がりへの反応が損の大きさを決める。損失回避は、損を確定させる痛みを利益の喜びより重く感じる癖を指す。処分効果は、利益の出たものを早く売り、損の出たものを持ち続ける癖を指す。インドネシアの初心者株式投資家100人に質問紙と面接を行った調査では、自信過剰と、身近な国の銘柄に偏るホームバイアスが投資判断に有意な影響を与えた一方、処分効果と群集心理には有意な影響が見られなかった(ウィジャヤントら、2026年の論文)。初心者だけを対象にした1本の調査なので、ここから一般の結論は引けない。
順番は3段になる。まず生活に要る資金と、投資に回す資金を分ける。次に、目的と期間から入れてよい額を決める。最後に、買った理由と売る条件を書き残す。理由が崩れたときだけ売ると決めておけば、値下がりそのものは売る合図ではなくなる。
この節に出てくる図鑑の項目
出典
- SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
- 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
- SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?金融商品・サービスのトラブルにご注意!
- 資産形成の基本(NISA特設ウェブサイト)
- Investor Behavioral Biases in Investment Decision-Making: A Study on The Novice Stock Investors
- Emotional Regulation and Gendered Behavioral Biases in a Stock Market Simulation: Evidence from Fifteen Semi-Structured Interviews with Novice Investors
- 【超初心者向け】投資1年目に本気で伝えたい、10のルールとは?これを知れば投資の失敗を避けられます
- 5 Beginner Investing Mistakes I'll Never Repeat (After 17 Years of Experience)
