2021年 ミーム株と暗号資産の熱狂
古典的バブル
年: 2021年 / 最大下落: 約77%(暗号資産) / 回復まで: 約3年
2021年ミーム株と暗号資産の熱狂は、空売りの残高が発行済株式数の約109%に達していたゲームストップにSNSの掲示板経由で個人の買いが殺到し、数週間で1,600%超上がる一方、暗号資産も約77%下落した出来事です。「みんなが買っているから」だけの相場は、必ず終わることを示しました。
何が起きたか
2021年1月、SNSの掲示板で話題になった銘柄に個人の買いが殺到しました(ミーム株)。SEC職員の報告書によると、この月は100を超える銘柄で値動きか出来高が市場全体を大きく上回りました。ゲームストップは、空売りの残高(空売り比率・信用倍率)が2020年末に発行済株式数の約109%に達していた銘柄で、1月11日の終値から27日の終値までに1,600%超上がりました。同年、暗号資産も最高値を更新しました。
どれくらい下がったか
SEC職員の記録では、ゲームストップの株価は1月8日の日中安値から28日の日中高値まで約2,700%上がり、その高値から2月第1週末の終値までに86%超下がりました。暗号資産は、国際決済銀行(BIS)の報告書によると、2021年11月に約69,000ドルで高値をつけ、2022年のうちにビットコインなど多くが約75%下がりました。同じ報告書は、暗号資産全体で1.8兆ドル超の価値が消えたと数えます。
戻るまでにかかった時間
ビットコインが2021年11月の高値を上回ったのは、2024年3月5日です。暗号資産の専門メディアCoinDeskは、同年1月11日に米国で取引が始まった現物ETFへの買いが押し上げた可能性が高いと伝えます。一方、CNBCの動画は、個人の株式の売買は1月がピークで、大手証券での売買が1〜3月から4〜6月に約3割減り、個人が暗号資産へ移っていると報じました。
ここから学べること
値動きの理由が「みんなが買っているから」だけの相場は、必ず終わります。SEC職員は、ゲームストップの上昇を数週間支えたのは、空売りの買い戻しではなく前向きな雰囲気だったと分析します(群集心理)。Chaconらの論文では、WallStreetBetsの推奨に従う売買は、保有1日〜1年のどれでもリスク調整後に利益が出ませんでした。「みんなが買っている」という誘いは、SNSの投資グループという詐欺の形でも使われています。
出典
- 公的機関・英語 米国証券取引委員会(SEC)の職員(2021) Staff Report on Equity and Options Market Structure Conditions in Early 2021
- 公的機関・英語 Giulio Cornelli, Sebastian Doerr, Jon Frost, Leonardo Gambacorta(国際決済銀行 BIS)(2023) Crypto shocks and retail losses(BIS Bulletin No 69)
- 論文・英語 Ryan G. Chacon, Thibaut G. Morillon, Ruixiang Wang(Financial Markets and Portfolio Management)(2023) Will the reddit rebellion take you to the moon? Evidence from WallStreetBets
- 資料・英語 CoinDesk(暗号資産の専門メディア)(2024) Bitcoin Soars to New All-Time High Above $69K
- 動画・英語 CNBC Television Meme stocks fall as retail traders move to crypto
解説動画: 個人投資家達の逆襲~ゲームストップ株騒動~【ゆっくり解説】/カカチャンネル
舞台になった場所: 英語圏の投稿型ソーシャルサイト Reddit の中にある、株式投資について語り合うスレッド(ウォールストリートベッツ)。掲示板のようにスレッドを立てられ、投稿者をフォローできるSNS的な性格も持つ。
何が狙われたか: ヘッジファンドなどに大量に空売りされて株価が低くなっている銘柄を、参加者が一斉に買おうという動きが起きた。空売りしている側は買い戻さなければならないため、上昇がさらに上昇を呼ぶ。
この回の枕にあるもの: 冒頭では、ネットや雑誌で話題になり掲示板で盛り上がっていた銘柄を買って買った瞬間から急激に下がって半額になった、信用取引で追証の連絡が来たという失敗談が置かれている。熱狂の話に入る前に、その熱狂に乗った側に何が起きるかが先に示されている。