体調が悪い日の学び方
体を動かす
風邪の日は反応が遅れる。新しい暗記より復習に回す
どんな技?
熱っぽい日や鼻づまりの日は、新しく覚える作業をその日の予定から外します。代わりに置くのは、すでに一度通した内容の思い出す練習や、手順の決まった書き写しです。目安は同じ行を何度も戻るかどうかで、戻るようなら新規の暗記はやめます。予定を消すのではなく中身を入れ替える形にしておくと、罪悪感が残りません。休むほうが早いという選択も、同じ列に置きます。
なぜ効くのか
風邪やインフルエンザでは覚醒の水準が下がり、反応の速さや注意の指標が落ちることが報告されています。落ちている状態では同じ材料でも認知負荷が高くつき、初めて出会う内容ほど取りこぼしが増えます。すでに知っている内容の思い出しは、この負荷が比べて軽いので残しやすいというのが理屈です。ただし入れ替えの割り振り自体を比べた実験はなく、しくみからの推測にとどまります。
やり方
朝の時点で今日は新規なしと決めてしまいます。回すのは前に一度通した範囲で、15分から20分の短い区切りにします。覚え直しの予定がずれるので、復習の間隔を決めるの側で日をずらし直します。夜に取り戻そうとして睡眠時間を削らないほうを崩すと、翌日も同じ日が続きます。書き出す作業や資料の整理のような、手が覚えている作業を置くのも手です。
はまりどころ
落ちる中身は病気によって違い、風邪では手と目の協応、インフルエンザでは注意や反応の面に出やすいと整理されています。だから体調が悪ければ何でも同じだけ落ちるわけではありません。入れ替えたほうが良いと比べた実験は無いので、ここは理屈の話です。症状の手当てや受診の目安はこの図鑑の話ではなく、医療機関に相談する範囲です。逆に体調を押して詰め込む形は、一夜漬けで扱う失敗に近づきます。
確かめられ方
Smith 2013 は、風邪とインフルエンザで覚醒度が下がり成績が落ちること、落ち方が病気によって違うことを一連の研究からまとめています。扱われているのは実験室の課題成績で、資格の勉強のような材料ではありません。しかも研究の多くが同じ研究グループのもので、学ぶ内容を入れ替えるほうが良いと比べた研究はありません。
解説動画(海外・英語): The surprising reason you feel awful when you're sick - Marco A. Sotomayor/TED-Ed
つらさの出どころ: 動画は、のどのいがらつきから始まる不調を病原体そのものの仕業と決めてよいのか、と問い直すところから入ります。ウイルスが細胞に入り込むと免疫が動き出し、まずマクロファージが攻撃に出て、そのあとサイトカインというたんぱく質を出して次の細胞を呼び集めます。ここで収まる感染は気づかないうちに終わると述べます。
熱と眠気の道すじ: 感染が血液や臓器へ広がりそうなときは、免疫が脳と連携してもう一段強く出ると説明します。増えたサイトカインが引き金になる道すじは二つで、ひとつは迷走神経が知らせを脳幹へ運ぶ道、痛みを扱う場所の近くを通ります。もうひとつはサイトカイン自体が視床下部へ届いて別の物質を作らせ、体温を上げ、筋肉を縮ませ、眠気を呼び、食欲と渇きを落とします。
つらさに意味はあるか: このつらさが何のためにあるのかはまだ分かっていないと断ったうえで、回復を助けるという見方を並べます。体温が上がると細菌の増えが鈍り、眠ることで戦う側へ力を回せる。食欲が落ちれば肝臓が血中の鉄を取り込み、細菌が使う分を減らす。ただし水が足りなければ脱水そのものが危ないとも言い添えます。
考える側にも届く: 体の症状にとどまらず、いらだち・落ち込み・混乱も起きると述べます。サイトカインとプロスタグランジンは脳のより上の構造にまで届き、グルタミン酸やセロトニンといった伝達物質の働きを乱すからだ、という説明です。影響の出る場所として、感情をつかさどる大脳辺縁系と筋道を立てる大脳皮質を挙げます。
その日の予定: 動画は、あの不快さの多くが体自身の防御であり、免疫が自分のために働いている証だと結びます。裏を返せば、筋道を立てる側にまで反応が届いている日だということです。だからこの項目は予定を消さず、新しく覚える作業を外して、一度通した範囲の思い出す練習へ入れ替える形を取ります。