ヒョウモンダコ

危険生物

ヒョウモンダコは、噛まれるとフグ毒で数分後からしびれが出る

見分け方

体長10cm程度の小さなタコで、興奮すると体表に鮮やかな青い輪の模様が浮かび上がります。長崎大学のチームが16の都道府県で集めた97個体を調べた2022年の論文では、房総半島以南の太平洋側と福井県以南の日本海側、瀬戸内海で確認されました。島根県では2012年6月に松江市沿岸で初めて見つかりました。秋から春に成熟し、春から初夏に卵を産んで守り、寿命は1年ほどと推定されています。潮だまりや堤防際で見かけることがあります。

危険・注意

唾液にフグと同じテトロドトキシンを含みます。石垣島のオオマルモンダコの調査では、毒は後部唾液腺で最も強く、肝膵臓や腕にもありました。京都府は、噛まれると数分後から唇・顔・首がしびれ、重いと呼吸困難で死亡することもあると注意しています。厚生労働省はフグ毒の中毒について、有効な解毒剤は今のところなく、人工呼吸で呼吸を確保すれば延命できるとしています。韓国で調べた3個体でも毒の量は大きく違うので、食べるのも避けてください。

どうする

見つけても絶対に触らないでください。青い模様が出ていなくても危険です。噛まれても痛みが軽いと、海外の動画は説明します。噛まれたら様子を見ず、ただちに119番か医療機関へ。オーストラリアでは4歳の子が浜で噛まれ、10分以内に嘔吐して立てなくなり、17時間の人工呼吸を受けて完全に回復しました。子どもは「きれいな生き物」として手を出しがちなので、事前に姿を見せて教えておくのが有効です。

出典

  1. 論文 山手佑太・豊増七奈・竹垣毅(2022) 日本国内におけるヒョウモンダコ Hapalochlaena cf fasciata の分布,体サイズ,成熟パターン
  2. 論文・英語 Asakawa M, Matsumoto T, Umezaki K, et al.(2019) Toxicity and Toxin Composition of the Greater Blue-Ringed Octopus Hapalochlaena lunulata from Ishigaki Island, Okinawa Prefecture, Japan
  3. 論文・英語 Kim JH, Kim DW, Cho SR, Lee KJ, Mok JS(2023) Tetrodotoxin and the Geographic Distribution of the Blue-Lined Octopus Hapalochlaena fasciata on the Korean Coast
  4. 論文・英語 Cavazzoni E, Lister B, Sargent P, Schibler A(2008) Blue-ringed octopus (Hapalochlaena sp.) envenomation of a 4-year-old boy: a case report
  5. 公的機関 京都府農林水産部水産事務所(2013) ヒョウモンダコについて
  6. 公的機関 島根県農林水産部沿岸漁業振興課 猛毒のあるヒョウモンダコにご注意ください
  7. 公的機関 厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒
  8. 動画・英語 Brave Wilderness Deadly Bite!? Blue Ring Octopus
  9. 動画・英語 National Geographic UK This Killer Octopus Is Both Beauty & Brains | Deadliest Month Ever | National Geographic UK

解説動画: テトラの隙間で刺された、ヒョウモンダコ中毒の経過/ヒューマンバグ大学_闇の漫画

どういう事故が起きたか: 堤防での釣りを題材にした、ドラマ仕立ての動画。テトラポッドの隙間に根掛かりした仕掛けを外そうと水面下に腕を伸ばした瞬間、手に何かが刺さる。引き抜くと小さなタコが手に絡みついていた。居合わせたベテラン釣り人がヒョウモンダコだと気づき、フグと同じ毒を持つと告げる場面から始まる。

体に何が起きるか: 傷口から毒を絞り出しながら、むやみに動かず座って待つよう指示されるが、数分もたたないうちに顔のしびれ、めまい、嘔吐が始まる。続いて全身の感覚が鈍くなり、呼吸困難に陥って意識を失う。搬送時は意識不明の重体だったという流れで、刺された直後は動けても短時間で急変することを描いている。

毒と、病院でできること: 医師の説明として、ヒョウモンダコの神経毒テトロドトキシンには解毒の方法がないと述べている。できるのは人工呼吸器で呼吸を確保し、毒が代謝で分解されるまで体を支えることで、この例では2日で退院している。青酸カリの1000倍とも紹介される毒なので、刺されたら様子を見ずにすぐ救急要請を。