音をつないで読む
3つの音をつないで、1語にする。
a / e / i / o / u(短母音)のように1文字ごとに覚えた音を、途切れさせずに1つの語としてつなぐ作業を、音の合成(ブレンディング)と呼びます。catという語は、/k/・/æ/・/t/という3つの音からできていて、この順で間を空けずに重ねたときだけ「キャット」に近い音になります。1つ1つの音を覚えても、つなげる練習をしていなければ、語として読めるようにはなりません。
米国教育省の研究機関IESがまとめた読みの基礎スキルの指導ガイドは、話し言葉の中の音のまとまりに気づく力を育て、それが文字とどう結びつくかを教える指導を、根拠の強さが最も高い区分の推奨として挙げています。文字を見る前に、まず耳だけで音をつなぐ練習をしておくと、文字の段に進んだときに新しく覚えることを「どの文字がどの音か」だけに絞れます。指導する側が/k/・/æ/・/t/と1つずつ声に出し、聞く側がつなげて「cat」と答える練習は、文字を見せる前の準備として使えます。
文字を使う段では、すでに読み方を知っている1文字だけを組み合わせた3文字の語を選びます。a / e / i / o / u(短母音)と/ɪ/のような音はすでに触れているので、新しく覚える負担をつなぐ動作だけに絞れます。左の文字から順に声に出し、1つ目の音を出し終えたらすぐ2つ目の音を続け、3つ目まで止めずに滑らせると、1つの語として聞こえる形になります。
やりがちな失敗は、1つずつの音を区切り、間に止めを入れることです。1音ごとに完全に切って発音すると、聞く側にはそれぞれの音にしか聞こえず、語としてまとまりません。前の音が終わる前に次の音を出し始めるくらいの感覚で、音と音の間を空けずにつなぐと、1語として聞こえやすくなります。
Levlinらの2020年の研究は、スウェーデンの小学2年生で読みに遅れのある49人を対象に、通常の学級指導と、音をつづりと結びつけて教える体系的な指導を、同じ児童で入れ替えて比較しました。体系的な指導の前は、知らない語も知っている語も、読みで30パーセンタイルを超えた児童はいませんでした。指導のあとは、知らない語の読みで69%、知っている語の読みで35%が30パーセンタイルを超えました。知らない語を読む力は、音をつなげて読む力そのものなので、つなぐ練習に時間をかける価値は、読みに遅れがある子どもでも変わりません。
