プルージック
応急・その他
プルージックは、ずらせば動き、離せば止まる摩擦を使う結び方。
使いどころ
張った綱やタープの好きな位置にランタンや小物を吊るしたいときに使います。荷重がかかると止まり、力を抜けば手で滑らせられるので、掛ける位置を何度でも変えられます。結び方解説サイト Animated Knots by Grog によると、この結びは1931年に登山家カール・プルージック博士(のちにオーストリア山岳会の会長も務めた)が考案したもので、もとはロープを自力で登るための足がかりや、レスキュー隊が滑車をロープに固定する用途に使われてきました。
結び方
細めのロープをフィッシャーマンズノットで輪にし、本ロープへ重ねて輪の中へ自分自身をくぐらせる形で3回巻きつけます。結び方ナビの動画は、巻いた6本の線の順が入れ替わらないよう整えると勧め、クライミング指導動画 Hard Is Easy は、締めたあと荷重をかける方向へ軽く引いて本当に締まるか確かめるよう勧めています。
コツ・注意
効かせるには本ロープの6割から8割ほどの太さの細い側を使うのが目安で、太さが近すぎると滑ります。3回巻くのが基本形で、英語圏では巻き数にちなみ「トリプル・スライディング・ヒッチ」とも呼ばれます。クライミング指導動画 Hard Is Easy は、上下どちらに引いても効き、ロープが濡れたり凍ったりしたときは巻き数を増やすとし、これ一本に体重を預けずバックアップを取るよう注意しています。キャンプでは吊り下げや張りの調整にとどめてください。
出典
- 資料・英語 Animated Knots by Grog Prusik Knot
- 動画・英語 Hard Is Easy Climbing Knots & Techniques How to Remember Them | Ep.9
- 動画 結び方ナビ 〜 How to tie 〜 プルージック結び 自在に動いて、しっかり固定できるロープワーク prusik / 結び方ナビ 〜 How to tie 〜
解説動画: プルージック結び:スライドできて荷重で止まる結び方/紐を持った猫
概要: 紐やロープを、棒やピンと張ったロープに結びつける方法を解説している。特徴は結び目を手で自由にスライドさせられる一方で、荷重がかかるとロックされたように動かなくなること。輪をつくって物を吊るす日常的な使い方はもちろん、登山や消防の現場でも使われると紹介している。
結び方: 紐を二つ折りにし、折り返した部分を棒の上に通す。そして末端側を、折り返してできた紐の隙間へ下から通す。これを同じ要領で3回繰り返し、形を整えて引き締めれば完成する。通している途中で紐が交差しやすいので、交差しないよう整えながら通すときれいに決まる。
長い紐で効率よく通すやり方: 末端が長いときは、余分な紐を折り返してひとまとめにしてから通すと早い。1回目は束を下から輪に通し、輪を下から手前へ持ってきて、2回目は束を上から輪に通す。3回目はまた1回目と同じく下から通す。これで3回通せたので、整えて引き締める。長いロープを何度も引き回さずに済む。
使い方と解き方: 通した後は末端を何かに結びつけるか、フィッシャーマンズノットなどでつないで輪状にして使う。あらかじめ適度な長さの紐を本結びなどで輪にしておいてから結んでもよい。解くのも簡単で、横に渡っている紐を手前に引き続けるとほどける。
解説動画(海外・英語): The Worlds Most Reliable Knot: The Prusik Hitch/The Bear Essentials
摩擦で止まり、力を抜くと滑る: プルージックはクライミング・レスキュー・樹上作業の世界で最も信頼されている結びの一つ。摩擦ヒッチの一種で、テンションをかけると噛み込んで止まり、テンションを抜くと自由に滑る。摩擦ヒッチは他にもあるが、プルージックが特別なのは2点。全方向性で、どちら向きに引いても同じように効くこと、そしてロープの途中(ミッドライン)に後付けでき、外すのも非常に簡単なこと。
まず輪を作る:ダブルフィッシャーマンズベンド: プルージックにはまずロープの輪が要る。両端をつなぐ結び(ベンド)にはいくつか選択肢があるが、クライマーが使う定番はダブルフィッシャーマンズベンドで、最も信頼されていて、正しく結べているかの確認も簡単だから。手順は、両端を交差させ、片方の端を自分自身の上に2回巻き付け、その2つの輪の中を通して締める。もう片方もまったく同じ形で2回巻いて通して締める。2つの結び目が互いに寄って締まり、タグ端が反対側どうしに出ていれば正解。
巻き方:3周、そして「馬蹄を外側・輪を内側」: 作った輪をメインロープに掛け、自分の輪の中に通す(ガースヒッチ/ひばり結びと同じ形)。同じ形でもう1周、さらにもう1周、計3周巻く。1周ごとに形を整える(dress する)のが要点で、中央の輪が内側から下りてきて、馬蹄形の並びが外側に来ている状態にする。ずれていたらこの時点で直す。上達したら連結の結び目を中心から少しずらすとよい。1点にテンションが集中せず、物の付け外しもしやすくなる。
キャンプでの一番の使い道:リッジラインとタープ: アウトドアで最も人気の使い方がリッジラインに通してタープを吊り、テンションを自在に決めること。作者はパラコード30cmほどで作ったプルージックの輪を数個、あらかじめキットに入れている。リッジラインにプルージックを掛け、タープのループをそこへ留めると、線上のどこへでもずらせて、位置も張りも思いどおりになる。晴れたらタープだけ外し、雨や夜になったら数秒で戻せる(プルージックは付けたままだから)。タープを横に並べて張るときも、両方の張りをきれいに合わせられる。タープ側との接続は輪を通して反対側に棒(トグル)を差すのが最も簡単で、確実にしたいならカラビナ。輪を作らずに2本の端を交差させて同じ形で巻き、あとから端どうしを本結びなどでつなぐやり方もある。
そのほかの使い道: ランタンなどの照明を吊るす(昼はずらして退け、夜は定位置へ)。焚き火の上に鍋を吊るす紐を自在結びで上下させ、プルージックで横へ逃がす。椅子を組むときに側面のポールへ通して、高さを可変にする。そして安全面で重要なのが物を吊り上げるときの止めで、摩擦を抜けば持ち上げられ、手が滑ればプルージックが噛んで落下を止める。クマ対策の food bag を高く吊るす用途にも使われ、下ろすときはヒッチを握って線を滑らせるだけ(片手でもできる)。アンカーの無い場所でロープの向きを変える中継点にもなり、タープの角度を後から変えられる。