ストークス数と捕まる割合
計算と実験
粒が流れを曲がりきれるかどうかが、ストークス数です。小さすぎる粒は根をよけて通り、大きすぎる粒は手前で落ちます。
何を決めるための考え方か
霧の粒が根や支柱を前にして、流れと一緒に曲がるか、慣性のままぶつかるかを分ける目安です。小さすぎる粒は根をよけて空気と一緒に出ていき、大きすぎる粒は届く前に落ちます。ザウター平均径をいくつに置くか、株のまわりの風速の帯をどれくらいにするかは、この一つの数を通してつながっています。当てかたを決める前に、粒と風の側から見ておく量です。
何を計算・計測するか
式はStk=t₀u₀/l₀で、緩和時間は t₀=ρp・dp²/(18μ) です。ρpは粒の密度kg/m³、dpは粒径m、μは空気の粘度Pa・s、u₀は代表風速m/s、l₀はぶつかる相手の代表寸法mを入れます。1よりずっと小さければ流線に乗り、ずっと大きければ直進します。要るのは粒径分布と風速と相手の太さの三つです。
つまずくところ
この数だけで捕まる割合は決まりません。同じ値でも株間と栽培密度や葉の重なりで手前に取られる量が変わり、飛んでいる間に蒸発するぶん粒径そのものが道中で縮みます。代表寸法に何を入れたかを書かずに数字だけ持ち出すと、根の太さ基準か株の幅基準かで答えが桁で変わります。条件とセットでしか比べられない量です。
どこまで確かめられているか
定義と緩和時間の式は流体・エアロゾル工学の教科書によります。近い実測は霧の採取の分野にあり、Kanooni と Kohan 2024 は超音波加湿器の霧を風速0.5〜3.5m/sで当て、12×12cmの網でラッシェルメッシュ最大約28%、円筒ブラシ型約50%と報告しました。根で捕集効率を測った公開値は見当たりません。
解説動画: How N95 Masks Stop Viruses/New Mind
ふるいでは止まらない: 動画はまず、細かい粒をふるいで止める案を退けます。30ナノメートルの粒を通さない目は酸素原子200個ぶんの幅しかなく、呼吸ではそこへ空気を押し通せません。吸うときの圧力差は水柱8センチメートルほどで、作業用の吸引機の25分の1だと述べます。止める仕組みは目の細かさではない、というところから話が始まります。
大きさで分かれる: 繊維の層を通る空気は筋になって流れ、粒がその筋に留まれるかは主に大きさで決まる、と動画は説明します。いちばん大きい粒は動きが遅く重力で沈んで落ち、600ナノメートルあたりまでの粒は慣性でぶつかるか、流れに乗ったまま繊維に触れて捕まります。落ちる粒と浮く粒の分かれ目がここにあります。
曲がりきれずに当たる: 慣性衝突は、繊維をよけて曲がる流れに粒が付いていけず、そのまま繊維へ当たって捕まることだと述べます。もう一つの遮りは、粒が流れに乗ったままでも自分の大きさのぶん繊維に近づき、触れて捕まる形です。同じ空気の筋を見ていても、粒の側の重さと大きさで行き先が変わるという話になります。
いちばん抜ける帯: 100ナノメートルより小さい粒は空気分子に叩かれて筋を横切る拡散で捕まり、道のりが伸びるぶん風が遅いほど捕まりやすくなると続きます。逆に捕まりにくいのは仕組みが入れ替わる50〜500ナノメートルの帯で、拡散で振られるには大きく、慣性や遮りで取るには小さい、と動画は指摘します。
根の側に置き直すと: 終わりに、捕まった粒はそれ自体が層の一部になり捕集は上がるが空気は通りにくくなること、隙間があれば空気は抵抗の低いほうへ回って粒ごと抜けることを述べます。動画が扱うのはマスクですが、捕まるかどうかが粒径と流れの速さで決まるという見かたはこの項目と同じで、小さすぎる霧は届かないの話につながります。