水耕より水を使わない?
節水と資源の説
判定: 条件によって変わる
報告によって、向きが逆になります。噴霧のほうが水あたりの収量が高いと測った試験も、水耕のほうが高いと測った試験もあり、作物と流量の決め方でどちらにも動きます。
言われていること
「同じ養液栽培でも、霧にするほうが水を使わない」という言い方が、方式を並べた表や装置の案内に出ます。根が液に浸かっていないのでためておく液の量が少なくて済む、根が吸う分だけ霧にすればよいという説明が添えられます。比較表では水の欄に印が付き、畑で作るより少ない水で済む?の話と混ぜて語られることも多いです。
誰が、何を、どう測ったか
El-Demerdash ら 2026(Scientific Reports)は、エジプトの温室でレタスを流量0.8・1.2・1.6・2.0 L/h、分割区法3反復、2月1日から4月25日まで育て、NFT と噴霧を比べました。Hutchinson ら 2025(HortScience 60(4):601)は温室で28日、ルッコラとレタスを深水式・NFT・垂直タワー・噴霧の4方式で比べています。
測るとどうか
El-Demerdash らでは、噴霧の水利用効率が NFT より64.65パーセントと64.34パーセント高くなりました(養液を使った区と、魚の飼育水を使った区のそれぞれ)。Hutchinson らではルッコラは噴霧が良く、レタスは深水式と NFT が良いと、作物で入れ替わります。Regmi ら 2024 のレビューも作物・単位・手法がそろわず直接は比べにくいと書いています。
どう言えば正しいか
どの水耕と、どの流量で比べたかを書いてから並べます。相手が NFT か深水式かで結果は変わり、同じ噴霧でも流量とノズルの数で効率が動きます。方式の名前だけでは、使う水の量は決まりません。作物ごとの勝ち負けは葉物は水耕より多く採れる?に、止めている時間の決め方は間欠噴霧に置きました。
解説動画: Hydroponics Systems side-by-side - Aeroponics vs Drip, Kratky and DWC/Urban Leaf
同じ部屋で5方式: 動画は、点滴・気泡を送る深水・超音波で霧を立てる噴霧・静置と、土を対照に加えた区を同じ部屋に並べ、3か月育てた記録です。株はミニトマト・レタス・ビートの3種で、実のなるもの・葉物・根もののそれぞれの代表として選んだと述べます。点滴は1日3回15分ずつ水を送る設定です。
そろわなかった点: 結果に入る前に、動画は自分の試験の弱いところを並べます。深水の株は水の減りが速く、途中で枯れました。点滴のトマトは株こそ大きいものの花が遅く、実が出そろう前に試験を打ち切っています。土の区は水やりを落とした日があり、この3つが結果を歪めうると断ったうえで、数字に入っていきます。
使った水の順: 水の量は、気泡を送る深水がとび抜けて多く、次が点滴でした。いちばん少なかったのは静置で、噴霧はそれにごく近い値です。動画は理由を、静置には水を動かす仕掛けが無いこと、噴霧は霧になった水が箱の中で結露して戻ってくることに求めています。どちらも外へ逃げる量が小さい、という説明です。
液温と実の量: 同じ部屋に置いても養液の温度は分かれ、噴霧の区がいちばん高くなりました。動画は超音波ミストユニットそのものが熱を出すためだと述べます。逆に気泡の深水は最も低く、水が蒸発するときに熱を奪うからだと説明します。実の大きさと数では噴霧の区が最もよく、静置がそれに次ぎました。
この試験の射程: 動画は、手間をいとわなければ噴霧がよく、手軽さでは静置が強いと結びます。ただしここで比べたのは霧を出す装置が1台の小さな箱で、数字として出せたのはトマトだけです。水の差は静置とほとんど無かったので、方式の名前だけで使う水の量は決まらないという読み方になります。