地質と湧きかた図鑑
マグマだまり(火山の湯)
マグマだまりは、地下にたまって湯を温めているマグマで、湯になる水の大半は雨や雪です。第四紀の火山活動でできた温泉を火山性温泉と呼び、その熱を出しているのが地下のマグマだまりです。神奈川県温泉地学研究所は、地下数kmから数十kmのところに1000℃を超えるマグマがたまっていると説明しています。…
熱水希釈型温泉(火山の湯)
熱水希釈型温泉は、深い熱水が浅い地下水に薄められて湧く、火山の湯の一つの型です。深部の熱水が上がってくる途中で浅い地下水と混ざり、薄まって湧く型です。別府温泉地球博物館は、世界の火山地域の本源的な熱水が塩化物泉型であることを挙げ、それが薄められて出てくるものをこの名で呼んでいます。…
蒸気加熱型温泉(火山の湯)
蒸気加熱型温泉は、深い熱水から分かれた蒸気が浅い地下水を温めてできる湯の型です。深いところの熱水が沸騰して分かれた蒸気が、上の層にある地下水を温めます。熱水希釈型温泉との違いは、上がってきたものが液体か気体かの一点にあります。熱水そのものは下に留まり、動くのは蒸気だけなので…
火山ガス吹き込み型温泉(火山の湯)
火山ガス吹き込み型温泉は、水に火山ガスが直接吹き込んでできる、強い酸性の湯です。活動的な火山の山頂近くで、火口から出る火山ガスが表流水や浅い地下水に直接吹き込みます。別府温泉地球博物館はこれを火山ガス吹き込み型と呼び、火山ガス加熱型という別名も挙げています。熱水が上がってくる型と違い、湯になる水は地表近くの水で…
地熱貯留層(火山の湯)
地熱貯留層は、熱水が岩の割れ目に染み込み、帽岩にふたをされてたまっている層です。割れ目や隙間の多い層に熱水がたまり、その上を水を通しにくい帽岩がふたをしている構造です。ふたがあるために熱と圧力が逃げず、深いところの水が高い温度を保ったまま留まります。井戸がこの層に届くと、たまっていた熱水が圧力で上がってきます。…
温泉余土(火山の湯)
温泉余土は、噴気や熱水が長く当たった岩が組織を失い、白い粘土に変わったものです。湯が湧く仕組みそのものではなく、湧いている場所の岩に起きることです。噴気や熱水に含まれる酸が岩石の長石や輝石を分解し、ナトリウムやカリウムなどが溶け出したあとに粘土鉱物が残ります。別府温泉地球博物館はこれを温泉余土と呼び…
地温勾配(火山ではない湯)
地温勾配は、地下が深いほど熱くなる温度の上がり方で、火山の無い土地の湯の土台です。地球の内部から地表へ、熱が絶えず流れ出ているためです。産業技術総合研究所 地質調査総合センターは、その上がり方を100mにつき平均約3℃とし、地表20℃なら1000mで50℃、3000mでは100℃を超えると説明しています。…
深層地下水型温泉(火山ではない湯)
深層地下水型温泉は、雨や雪が深さの分だけ上がった地温で温まって戻ってきた湯です。地表に降った雨や雪が地中にしみ込み、深いところをゆっくり流れる間に温まります。熱を与えるのは地温勾配と、古い火成活動の冷めのこりの熱です。別府温泉地球博物館は、こうした陸水(淡水)起源のものにこの名を使っています。…
化石海水型温泉(火山ではない湯)
化石海水型温泉は、地層に閉じ込められた昔の海水が、反応で組成を変えて出てくる湯です。古い海水が地層のすきまに閉じ込められたまま残っている水が、湯の正体です。海だったところに砂や泥が積もると、粒のあいだの水も一緒に埋められ、地下深くへ運ばれます。そこは地温勾配のぶんだけ温かく、汲み上げれば湯になります。…
有馬型深部流体(火山ではない湯)
有馬型深部流体は、沈み込むプレートから絞り出された水が、火山なしに高温で湧く型です。熱の出どころが、マグマだまりではなく沈み込む板の側にあります。海洋プレートが地下深くへ沈むとき、含水鉱物から水が絞り出され、その水が断層のような通り道を選んで上がってきます。産業技術総合研究所の深部流体研究はこの水を深部流体と呼び…
割れ目系循環型温泉(火山ではない湯)
割れ目系循環型温泉は、断層や割れ目にしみ込んだ地下水が深く潜り、温まって戻る湯です。地下水が割れ目という一本の道を通って深くまで潜り、地温勾配のぶんだけ温まって、同じ道を上がってきます。別府温泉地球博物館は、これを非火山性温泉の一類型として挙げています。周りの岩がほとんど水を通さなくても…
花崗岩地帯の湯(火山ではない湯)
花崗岩地帯の湯は、岩のウランやトリウムの壊変でできるラドンが地下水に溶けた湯です。花崗岩がウランとトリウムを多く含むことが出発点です。放射壊変の系列でラジウムができ、そこから生まれるラドンは気体なので、岩に触れている地下水に溶け込みます。地下水は割れ目系循環型温泉と同じ道を通ります。…
かん水(火山ではない湯)
かん水は、水溶性天然ガス田でガスを汲む井戸から一緒に上がる、塩分の濃い地下水です。地層に閉じ込められた塩分の濃い地下水を、水溶性天然ガス田から汲み上げたものです。目的はまず水に溶けたメタンで、ガスと水は同じ井戸から一緒に上がってきます。村松 2018(温泉科学68)は…
フミン酸を含む湯(火山ではない湯)
フミン酸を含む湯は、平野の堆積層の腐植物質が地下水に溶けて、茶褐色になった湯です。地下に埋もれた植物起源の腐植物質が、地下水に溶け込んだ湯です。亜炭や泥炭をはさむ地層を水が通ると、フミン酸やフルボ酸が水の側へ移ります。神奈川県温泉地学研究所は、京浜・湘南地域にフミン酸を含む茶褐色の地下水が広く分布し…
自然湧出(湧かせ方と地上の見え方)
自然湧出は、ポンプを使わずに、地下の水の圧力だけで湯が地表まで出てくる状態です。地下の圧力だけで、湯が地表まで上がってきます。押し上げているのは、水がしみ込んだ高い土地と湧出口との水位の差で、水を通しにくい層にはさまれた帯水層がその差を保ちます。日本温泉協会は…
掘削自噴(湧かせ方と地上の見え方)
掘削自噴は、掘った井戸からポンプなしで湯が噴き上がる、人が穴を開けた湧きかたです。圧力を持った層に、人が穴を通したときに起きます。水を通しにくい層にふたをされた帯水層は、押し上げる力を地下に閉じ込めたままになっています。そこへ井戸が届くと、水位の差のぶんだけ水は地表を越えて上がります。…
動力揚湯(湧かせ方と地上の見え方)
動力揚湯は、自分の力では地表に届かない湯を、ポンプや吹き込む空気で上げる方法です。地下水面が地表より低いところにある湯は、圧力だけでは地上まで上がってきません。そこへポンプを下ろして押し上げるか、井戸のなかに空気を送り込んで汲み上げるのがこの方式です。自然湧出や掘削自噴と湯の出どころは変わらず…
噴気地帯(湧かせ方と地上の見え方)
噴気地帯は、浅いところで沸騰した熱水の水蒸気だけが、地面の割れ目から抜ける一帯です。地下の熱水が浅いところまで上がる途中で沸騰し、液体と気体に分かれます。液体は下に残り、水蒸気と揮発しやすいガスだけが岩の割れ目を伝って地表へ抜けます。もとの熱はマグマだまりから届いていて…
間欠泉(湧かせ方と地上の見え方)
間欠泉は、地下にためた湯やガスが限界を超えるとまとめて噴き、休止を繰り返す泉です。湧き口までの道が細い管や地下の空洞になっていると、湯はいったんそこにたまってから一度に噴き上げます。鏡 2015(温泉科学65)は間欠泉の噴出機構の研究をまとめており、圧力をためるものと、引き金になるものによって型が分かれます。…
石灰華(湧かせ方と地上の見え方)
石灰華は、二酸化炭素の抜けた場所で炭酸カルシウムが沈殿して積もった、湯の跡の岩です。石灰華は湯ではなく、湯が出ていた場所に残る岩です。地下では二酸化炭素の圧力に支えられて炭酸カルシウムが水に溶けていられますが、地上に出てガスが抜けると溶けきれなくなり、その場で固体になって沈みます。…
