木組みと軒下図鑑
礎盤(柱と梁を受ける部材)
礎盤は、柱の下端と礎石のあいだに挟む円盤形の受け材で、禅宗様とともに入りました。柱の下端と礎石のあいだに挟む、円盤形の受け材です。柱がじかに石へ乗るのではなく、いったんこの一枚を経て荷重が礎石へ渡ります。柱の足元の据わりが定まり、木口が石の湿りに直接さらされにくい位置でもあります。石造が基本で、木製の例も残ります。…
粽(柱と梁を受ける部材)
粽は、柱の端を、径を落としながら丸くすぼめて納める、柱そのものを削る仕上げです。柱の端を、径を落としながら丸く納める仕上げです。別の材を足すのではなく、柱そのものを削って細らせます。柱頭が組物の底へ吸い込まれるように収まり、礎盤に載る下端も同じくまとめられます。禅宗様では上下の両端に、大仏様では主に上端に施されます。…
頭貫(柱と梁を受ける部材)
頭貫は、柱の頂部を横に貫通して柱同士をつなぎ、上に載る組物の土台になる水平材です。柱の頂部を貫通して、柱と柱をつなぐ水平材です。この上に大斗と組物が載るため、軒まわりの荷重を受け渡す土台の役をこの材が担います。柱の外へ木口が出た部分は木鼻と呼ばれ、渦や若葉の彫りが加わることもあります。福井県の明通寺本堂…
長押(柱と梁を受ける部材)
長押は、柱を貫かずに柱の外面へ水平に打ち付け、柱間を横につなぐ化粧のための横材です。柱の外面へ水平に打ち付ける化粧材です。柱を貫かず、柱の前へ回り込んで柱間を横につなぎます。古代には柱を締める役も担いましたが、貫が広まって以降は見せるための材という役どころが中心になりました。…
貫(柱と梁を受ける部材)
貫は、柱に穴を開けて材を通し抜き、柱と柱を組んで横からの力に粘らせる水平材です。柱に穴を開け、材を通し抜いて柱同士を組む水平材です。柱と材が交わる点で押し合うため、横からの力に対して骨組みが粘るようになります。端は楔で締め、高さを変えて何段も通します。奈良県の東大寺南大門は太い柱に何段もの貫を通し…
台輪(柱と梁を受ける部材)
台輪は、頭貫の上へ載せる、柱より幅の広い板で、上に並ぶ組物を全面で受ける材です。頭貫の上へ載せる、柱より幅の広い板です。柱の頭を横につなぎつつ、上の組物を全面で受けます。組物を柱の真上以外にも置けるようになり、柱間へ組物を詰めて並べる詰組が成り立ちます。山口県の功山寺仏殿、広島県の不動院金堂…
大斗(柱と梁を受ける部材)
大斗は、柱の真上に一つだけ据える組物の最下段の斗で、上のどの斗よりも大きな斗です。柱の真上に据える、組物の最下段の斗です。上に肘木を受け、そこから広がった組物が集めた力を一点にまとめて柱へ落とします。東京大学の藤田香織は組物4種の振動台実験で…
肘木(柱と梁を受ける部材)
肘木は、斗の上に載り、前後左右へ腕のように伸びて、上に置く斗や桁を受ける横木です。斗の上に載り、前後左右へ腕のように伸びる横木です。上に巻斗を置いて次の段を受けたり、桁を直接受け止めたりします。斗と肘木が交互に積み上がったものが組物で、大斗から始まって三手先まで段が増えていきます。奈良県の法隆寺金堂の雲肘木…
虹梁(柱と梁を受ける部材)
虹梁は、柱と柱のあいだに渡して上の荷重を受け、下端を弓なりに反らせた社寺の梁です。柱と柱のあいだに渡し、上に載る小屋組や天井の荷重を柱へ落とす横材です。断面の下端を弓なりに反らせたものを虹梁と呼び、まっすぐな梁と役目は変わりませんが、見上げたときの重さの当たり方がやわらぐ形になります。…
海老虹梁(柱と梁を受ける部材)
海老虹梁は、高さの違う二本の柱の頭を、海老の背のような曲線で斜めにつなぐ梁です。高さの違う二本の柱の頭を、斜めに渡してつなぐ梁です。片端が高く片端が低いため直線では納まらず、S字に近い曲線で高さの差を吸収します。向拝の柱と本体の柱、裳階と身舎のように、高さのそろわない部分どうしを結ぶのが役目で…
平三斗(軒を出す部材)
平三斗は、柱頭の大斗の上に肘木を一本渡し、その上に斗を三つ並べて桁を受ける組物です。柱頭の大斗の上に肘木を一本渡し、その上へ斗を三つ並べて桁を受ける組物です。名にある三斗はこの斗の数を指します。壁の面より前へは出ず、柱の上だけで完結するのが要点で、軒の出は垂木の長さで稼ぎます。荷重を柱の一点に集めず…
出組(軒を出す部材)
出組は、大斗から肘木を壁の面より一段前へ出し、その先で軒桁を受ける和様の組物です。大斗から前へ肘木を一段出し、壁の面より前へ移した位置で軒桁を受ける組物です。桁が前へ動くぶん垂木の掛かり始めも前へ出るので、同じ垂木の長さでも軒の出を稼げます。段は一段だけで、その先へは重ねません。平三斗が柱の上で止まるのに対し…
三手先(軒を出す部材)
三手先は、肘木と斗を前へ三段重ねて、軒桁を壁の面から大きく前へ離して受ける組物です。肘木と斗を前へ段々に重ね、軒桁を壁の面から大きく離して受ける組物です。段が増えるほど軒の出を長く取れ、深い軒と大きな屋根が成り立ちます。奈良県の薬師寺東塔や興福寺五重塔、京都府の醍醐寺五重塔のような五重塔と金堂に使われ…
詰組(軒を出す部材)
詰組は、柱の上だけでなく柱と柱のあいだにも、組物を隙間なく並べる禅宗様の配置です。組物を柱の上と柱間の両方に、隙間なく並べる配置です。一つひとつの組物は出組や三手先と同じで、違うのは置き方です。柱間にも力を受ける点が並ぶため、柱間の長い建物でも軒桁がたわみにくくなる利点があり、同時に軒下が濃く見えます。…
挿肘木(軒を出す部材)
挿肘木は、柱の側面に穴を通し、肘木を柱へ直接差し込んで軒の荷重を受ける組み方です。柱の側面に穴を通し、肘木を柱へ直接差し込んで軒の荷重を受ける組み方です。柱頭に大斗を置かず、段を上へ重ねながら少しずつ外へ出していきます。荷重は斗を介さず柱そのものへ流れるため、太い柱と貫でつくる大仏様の骨格と一体になっています。…
尾垂木(軒を出す部材)
尾垂木は、組物のあいだから斜めに突き出し、梃子の要領で軒先を持ち上げる太い材です。二手先以上の組物へ斜めに差し込み、梃子の要領で軒先を持ち上げる太い材です。内側の端は屋根裏で押さえられ、外側の端が組物の前へ突き出します。組物だけでは前へ出るほど不利になる軒先の重さを、内側の重さで釣り合わせる仕組みで…
隅木(軒を出す部材)
隅木は、屋根の隅を棟の端から軒先へ斜めに下り、左右の垂木の内端を受ける太い材です。屋根の隅を、棟の端から軒先へ四十五度に下る太い斜材です。両側の平から寄ってくる垂木の内端をこの材へ突き付け、外端は桁の隅へ載せます。軒の出と隅で反り上がる線は、この一本の据え方でほぼ決まります。二軒では下に地隅木、上に飛檐隅木が重なり…
二軒(軒を出す部材)
二軒は、地垂木の先に飛檐垂木を継いで垂木を上下二段に重ね、軒を深く前へ出す構えです。地垂木と飛檐垂木を上下に重ね、軒の出を二段で稼ぐ構えです。柱筋から出た地垂木の先端に木負という横材を渡し、そこを支点にして飛檐垂木を前へ継ぎ、その先端に茅負を載せます。一本の垂木を長く伸ばすより先端の垂れを抑えながら軒を深くできるため…
繁垂木(軒を出す部材)
繁垂木は、軒裏の垂木を、隙間が垂木の幅ほどしかない密さに詰めて並べる納め方です。軒裏に並ぶ垂木の間隔を詰めて本数を増やした納め方で、部材としての役目は疎垂木と変わりません。垂木は桁と木負に架かり、上の野地板と屋根葺材の重さを受けて下へ渡します。同じ荷重でも本数が増えれば一本あたりの負担が軽くなるため…
扇垂木(軒を出す部材)
扇垂木は、軒裏の垂木を平行にせず、扇の骨のように放射状へ開いて並べる納め方です。軒裏の垂木を一点から放射状に広げて並べる納め方です。役目そのものは平行垂木と変わらず、屋根の重さを受けて桁へ渡しますが、隅へ向かうほど一本ずつ角度が増すため、垂木の断面も先へ行くほど台形に近づきます。…
蟇股(彫りと飾りの部材)
蟇股は、組物と組物のあいだに置き、下端が左右へ股のように開いて荷重を受ける材です。頭貫や虹梁の上に置き、組物と組物のあいだで上の荷重を受ける材です。輪郭は下端が左右へ広がり、蛙が足を開いた姿に見えることから名が付きました。板を輪郭の形に切り抜いた板蟇股と、太い輪郭材を組んで内部を彫刻で埋める本蟇股があり…
間斗束(彫りと飾りの部材)
間斗束は、柱間の頭貫の上に立て、頂に斗を載せて桁を受ける、角ばった彫りのない束です。頭貫の上、柱と柱のあいだに立つ断面の角ばった束で、頂に斗を載せて上の桁を受けます。柱の上には組物が載り、その組物と組物のあいだを埋める中備としてこの束が入ります。荷重を頭貫と柱へ落とすほか、長い柱間で桁が垂れるのを止める役も担います。…
蓑束(彫りと飾りの部材)
蓑束は、頂が左右へ広がり、蓑を掛けたような縦の襞を表面に刻んだ、中備に立つ束です。中備として頭貫や虹梁の上に立ち、頂の斗で上の桁を受ける束です。頂が左右へ広がり、表面に縦の襞が刻まれるのが姿の特徴で、蓑を掛けたように見えることから名が付きました。荷重を受ける役目は間斗束と変わらず…
大瓶束(彫りと飾りの部材)
大瓶束は、虹梁の上に立てて上の梁を受ける、下がふくらみ上がすぼまる瓶の形の束です。虹梁の上に立て、頂に斗を載せて上の梁や棟木を受ける束です。下がふくらみ上がすぼまる瓶のような輪郭が名の由来で、首のあたりには結綿と呼ぶ帯状の彫りが回ります。左右には笈形という板状の飾りを添えることが多く…
笈形(彫りと飾りの部材)
笈形は、大瓶束の左右に添える渦を巻いた板で、荷重を受け持たない飾りのための部材です。大瓶束の左右に添える、渦や若葉を刻んだ板です。上からの荷重は束が受けて下の梁へ落とすため、笈形そのものは力を伝える材ではなく、束を左右から支えて見せる飾りの側に回ります。名は背に負う笈の形に似ることによるとされ…
木鼻(彫りと飾りの部材)
木鼻は、柱の外へ突き出た貫や梁の木口で、そこへ加えた彫りまでを含めた呼び名です。頭貫や虹梁の木口が、柱の外側へ突き出た部分です。突き出しそのものは貫を柱へ差し通した結果として残る材の端で、抜け止めと化粧を兼ねます。そこへ彫りを加えたものを木鼻と呼び、彫った面は柱の側面と直角に向き合います。…
手挟(彫りと飾りの部材)
手挟は、向拝の柱の上で、虹梁と垂木のあいだにできる三角の隙間を左右から埋める板です。向拝では、柱の上を渡る虹梁と、そこから斜めに上がる垂木とのあいだに三角の隙間が空きます。手挟はここへ左右から差し込む板で、隙間を塞ぎ、同時に彫りを見せる場になる部材です。屋根の荷重は柱と梁が受けるため、板そのものは軒を支えていません。…
支輪(彫りと飾りの部材)
支輪は、組物の上端と天井や軒裏のあいだの段差を、反りをつけた曲面の板でつなぐ材です。三手先や出組は柱から前へ出るため、組物の上端と天井や軒裏とのあいだに高さの差が残ります。支輪(枝輪とも書きます)はこの差を反りをつけた曲面の板でつなぐ部材です。JAANUSは形を直線・凸・凹に分け、軒下では凸にふくらみ…
