中門造
屋根と間取りの型
中門造は、主屋から前へ突き出した中門の先端に入口を開き、玄関や厩を納めた民家です。
形
主屋の平側から前へ突き出した棟を「中門」と呼び、その先端に入口を開く型です。突出部は主屋と屋根がつながり、上から見るとT字か鉤の手になります。通り土間が中門を貫いて主屋の土間へ抜け、下手にニワとウマヤ、奥に炊事の場が並びます。国指定文化財等データベースには、山形県金山町の近岡家住宅主屋、新潟県関川村の松坂家住宅主屋、上越市の旧飯田家住宅主屋が中門造として並びます。
形の理由
雪です。根雪が春まで残る日本海側では、主屋の壁に直に開けた戸が積もった雪で塞がります。前へ突き出した中門の先端に入口を作れば、屋根から落ちた雪の山より前で戸を開けられます。日本建築・美術用語辞典JAANUSは、中門造が17世紀後期の秋田の農家で使われ始め、当初は格の高い家に結び付いていたと記します。突出部は受け持ちで名が分かれ、前中門は玄関と客を迎える側、後中門は厩や水回りを納めます。
見分けの決め手
突き出した棟の先端に入口があるかどうかが決め手です。中門造では先端の妻面に大戸口が開き、そこから入った土間が主屋まで通ります。厩を納める後中門でも、人の出入りは先端です。屋根は主屋の切妻造から中門の小さな屋根へ段を落として下り、正面から見ると棟が二段になります。中門が左右どちらか一方だけの家が多く、突き出す長さは主屋の奥行きより短く収まります。新潟県上越市の旧飯田家住宅主屋は、北寄りの土間前面に入母屋造の中門を構えます。
取り違えやすい相手
曲屋です。突き出した棟を持つところは同じで、先を見て人の入口があれば中門造、壁で閉じて厩になっていれば曲屋という順に確かめます。中門造は通り土間が突出部を貫きますが、曲屋の土間は主屋の側で止まります。岩手県に多い曲屋に対し、中門造は山形県や新潟県に集まり、秋田県では両方が現れます。近岡家住宅主屋のように、厩を納める中門は「馬屋中門」とも呼ばれますが、入口は先端にあり曲屋とは別です。入口の位置が最後の決め手です。
見られる地域
秋田県から山形県、新潟県にかけての日本海側と、その山あいに集まります。国指定文化財等データベースでは山形県の近岡家住宅主屋、新潟県の松坂家住宅主屋、旧飯田家住宅主屋が中門造として記されています。雪の残る早春なら、中門の先端まで雪が寄せられた様子まで見えます。上越市中ノ俣集落は積雪4mを超える山あいの茅葺集落で、東京大学の調査は農家の代表形式を中門造と記します。
出典
- 公的機関 文化庁 近岡家住宅主屋(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 松坂家住宅主屋(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 旧飯田家住宅主屋(文化遺産オンライン)
- 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) chūmon-zukuri 中門造り(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
- 公的機関 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻建築史研究室(上越市)(2001) 上越市の歴史的建造物に関する調査報告 第4章 中ノ俣集落
