照明の選び方と、熱と湿気の扱い。
室内で照明を使うときは、一日に当てる光の量、器具と高さ、熱と湿気の逃がし方の順に決めます。窓の光をあてにしないぶん、植物育成LEDライトの光が育ちのすべてになり、器具が使った電力もほとんどが熱として部屋に残ります。
一日の光の量は、葉の高さの PPFD(µmol/m²/s)に点灯時間の秒数を掛け、100万で割ったDLI(mol/m²/日)で決めます(Purdue Extension)。日光を遮ったハウスの中の縦型水耕で玉レタスを育てた研究(Gavhane ら 2023)は、白色LEDの PPFD を200にそろえ、点灯を12・16・20時間に分けて DLI を8.64・11.5・14.4にしました。いちばん育ったのは16時間の11.5で、20時間の区は生重が約1割落ち、電力あたりの収量も下がっています。1品種・1つの装置での値ですが、点灯を延ばすほど育つわけではない、という手がかりになります。先に作物の目安の DLI と一日の点灯時間を決めれば、要る PPFD は割り算で出ます。
器具は、表示のW数ではなく、1ジュールの電気から何µmolの光が出るか(µmol/J)で比べます。白色に赤を足した器具は、第三者の測定で2.5〜2.8µmol/Jに届いています(Kusuma ら 2020)。高さはライトハンガーで変え、決めた PPFD になったかを光量子計で葉の高さで測ってから固定します。棚の側面と背面に反射シートを貼ると、横へ抜けていた光の一部が株へ戻ります。
棚をグロウテントのような内張りの囲いで覆うと、光は逃げにくくなる代わりに、熱と湿りもこもります。断熱と気密の高い栽培室では、照明を点けているあいだは冬の夜でも冷房が要り、入れた電気のほとんどが熱として残ります(Kozai 2013。熱と除湿の負担)。噴霧栽培では、栽培チャンバーの継ぎ目から漏れる霧と葉の蒸散が湿りに加わります。湿りは換気扇で外へ出すか(換気回数と密閉度)、除湿機で取るかのどちらかで、囲いの中と外に温湿度データロガーを置いて一日の形を記録してから決めます。囲いの外の部屋は、相対湿度を60%未満、できれば30〜50%に保つとカビが出にくくなります(米国環境保護庁)。
消灯の時間も計算に入れます。閉じた栽培室で照明を全部消すと、室内の相対湿度は100%に近づき、蒸散がほとんど止まります。棚を2〜3組に分けて点灯の時間帯をずらすと、一日中どこかの照明の熱で冷房と除湿が回り続けます(Kozai 2013)。1台だけの家庭の棚では、消灯中の湿度を記録で確かめ、夜も換気を止めないようにします。
やりがちな失敗は、明るさを目で決めることと、照明の熱を霧の不調と取り違えることです。棚の端から同じ棚で育ちが揃わない症状が出たら、まず光量子計で端と中央の差を測ります。照明の下で昼だけしおれて夕方に戻る症状や養液の温度が上がる変化が続くときは、液温と室温を同じ時刻に読み、熱の出どころが照明の側かを先に分けます。点灯から数時間たっても囲いの中の温度と湿度が記録の上で一定の幅に収まっていれば、照明と空気の組み合わせは決まっています。
出典
- 論文・英語 Gavhane KP ほか(2023) Determination of optimal daily light integral (DLI) for indoor cultivation of iceberg lettuce in an indigenous vertical hydroponic system
- 資料・英語 Torres AP, Lopez RG(Purdue Extension・パデュー大学) Measuring Daily Light Integral in a Greenhouse (HO-238-W)
- 論文・英語 Kusuma P, Pattison PM, Bugbee B(2020) From physics to fixtures to food: current and potential LED efficacy
- 論文・英語 Kozai T(2013) Resource use efficiency of closed plant production system with artificial light: Concept, estimation and application to plant factory
- 公的機関・英語 米国環境保護庁(EPA) A Brief Guide to Mold, Moisture and Your Home





