遠い山が近くに見えると雨

空の色と光の言い伝え

「遠い山が近くに見えると雨」は、空気の透明度、つまり視程を見ている言い伝えです。

言われていること

気象庁 秋田地方気象台のことわざのページは、「大気現象に関することわざ」の節に「遠い山が近くに見えると雨」を、理由を付けずに載せています。同じ節の夕焼けは晴れや朝虹は雨が色や向きを見るのに対し、こちらは見通しの距離を見る言い方です。気象庁の子ども向けの頁は、夕焼けは晴れを例に、晴れることが多いという傾向の言い伝えだと説明し、当たり具合を自分の地域で調べてみることを勧めています。

空で実際に起きていること

気象庁『気象観測の手引き』第10章は視程を、地表付近の大気の混濁の程度を見通しの距離で表したものと定めています。昼間は空を背景とした黒ずんだ目標を肉眼で識別できる最大距離です。観測は1kmまでは50m・100m単位、1km以上はkm単位で、0〜9の階級に分け、階級9は50km以上です。最も遠い目標が明瞭に見えるときは、その輪郭の鮮明度や色から推定するとしています。

当たる範囲と外れる条件

英国の8観測所で1950年代からの視程を調べた Singh らの論文は、月ごとの平均で視程が相対湿度と逆向きに動くことがどの地点にも見られたと報告し、粒が湿って光を散らす力が変わるためだとみています。Won らの論文も、粗い粒子とPM2.5が視程を下げる影響は気象のタイプで変わるとしています。近く見える日が雨に先立つ理由は、秋田地方気象台のページにも書かれていません。

言い伝えが見ている雲・現象

見ているのは山ではなく、その日の大気に浮いている粒です。『気象観測の手引き』は、煙霧を乾いた粒子で相対湿度75%未満のことが多い、もやを水滴や湿った粒子で75%以上が多い現象と分けています。遠くの物が高い位置に見えるのは屈折による別の現象で、WMO 国際雲図帳は地表が上の空気よりずっと冷たいときの上位蜃気楼と説明しています。

出典

  1. 公的機関 気象庁 秋田地方気象台 ことわざ・手作り気象測器のページ
  2. 公的機関 気象庁(はれるんランド) 天気の言い習わし(ことわざ)について教えてください
  3. 公的機関 気象庁(1998) 気象観測の手引き(視程・大気現象の種類と定義)
  4. 論文・英語 Ajit Singh, William J. Bloss, Francis D. Pope(バーミンガム大学)(2017) 60 years of UK visibility measurements: impact of meteorology and atmospheric pollutants on visibility
  5. 論文・英語 Won WS, Oh R, Lee W, Ku S, Su PC, Yoon YJ(2021) Hygroscopic properties of particulate matter and effects of their interactions with weather on visibility
  6. 公的機関・英語 WMO 国際雲図帳(世界気象機関) Mirage