行動を観察する
食べる・水浴び・求愛・けんかなど、しぐさの見どころ。
行動の観察は、名前の分かった鳥を、何をしているかで見直す楽しみ方です。始める順は、近所でよく会う1種を選ぶ、1羽を決めて数分追う、見えた動きを動詞で書く、の三つです。名前を覚え終えた鳥ほど、しぐさの違いに目が向きます。
最初の1種は、カワラバトのように人の近くを歩く鳥が向いています。歩くハトの首は前後に振られているように見えますが、実際には頭が空間の一点にほぼ止まる時間と、素早く前へ突き出す時間が交互に来ています。動く床の上を歩かせて景色が流れないようにすると首の動きが消えたので、目に映る像を止めるための動きと考えられています(Frost 1978)。止まっている時間の頭は、上下の動きや回転についてもほぼ固定されていました(Troje と Frost 2000)。歩くハトを真横から見て、頭が止まる瞬間を目で拾うと、首振りの見え方が変わります。
1羽を決めて追うのは、目に付いた動きだけを拾うと記録が偏るからです。動物の行動を観察する方法をまとめた論文は、7つの記録の取り方を比べ、方法によって偏りの出方が違うと述べています。取り方の1つが、1個体を決めて一定時間の行動を書き続ける方法で、5分か10分おきに近くにいる個体と距離を書き足す組み合わせも挙げています(Altmann 1974)。公園で使うなら、3分ほど1羽を追い、食べる・歩く・羽づくろい・鳴く・飛ぶのどれをしていたかを、時計を見ながら書き分けます。
行動には名前の付いたものがあります。縄張りを守る追い払い、冬に種の違う鳥がまとまって動く混群、夕方に多数が集まって眠る集団ねぐらは、言葉を知っていると見えた動きを一行で書けます。ムクドリやハシブトガラスが夕方に同じ方向へ飛んでいく動きは、集団ねぐらの項目と並べて読むと見どころが分かります。
声と行動を合わせると、鳥どうしのやりとりまで見えてきます。シジュウカラはヘビに出会ったときだけ決まった警戒の声を出し、その声を聞かせているあいだは、ヘビのように動かした木の棒に近づきました(鈴木 2018)。シジュウカラのジャージャーが聞こえたら、声の主を探して近寄るのではなく、離れた場所から周りの鳥の動きを見ます。巣の近くでの行動は観察の対象にしません。幹に寄って探すことは巣に近寄る行為にあたります。
やりがちな失敗は、珍しい動きを待って同じ場所に長く張り付くこと、鳥を動かそうと音を立てたり餌をまいたりすること、記録に感想だけを残すことです。餌でおびき寄せる行為は、自然な行動の観察そのものを壊します。歩く・つつく・止まるのような動詞で書いた記録が重なると、同じ1種の朝と夕方の過ごし方を比べられるようになります。
