積み上がる形に変える
時間を売る仕事から、残るものを作る仕事へ。
積み上がる形とは、一度作ったものが後からも売れる形を指し、ストック型とフロー型で言えばストック型に当たる。時間を売る仕事は手を止めれば収入も止まり、時間あたりの額を上げても、使える時間の上限で頭打ちになる。積み上がる形は上限を外す道になる代わりに、最初の収入が出るまでが長く、何も売れずに終わることもある。だから順番は、時間を売る仕事を続けたまま、空いた時間の一部を積み上げに回す形にする。片方をやめてから始めると、売れない期間の暮らしを支えるものが無くなる。
作るものは、時間を売る仕事で手元にたまった技能と材料から選ぶ。文章の仕事をしてきたなら電子書籍の出版や有料記事の販売、写真や絵なら写真素材の販売やイラスト素材・LINEスタンプの販売、曲を作れるなら音源・BGMの販売、プログラムを書けるなら自作アプリのストア公開が近い。ブログ運営と動画配信は、読む人や見る人を集めるところから始まるので、ほかの形より長い時間を見ておく。依頼を受けるなかで同じ質問を何度も聞かれたなら、答えをまとめたものが最初の題材になる。
見込みは、売れ方が大きく偏ることを前提に立てる。動画の場では、無作為に選んだチャンネルの10年分を調べた研究で、再生回数の平均85%が全チャンネルの3%に集まり、長く続いているチャンネルほど多くの視聴者を得やすかった(Bärtl 2018)。一つ作って様子を見るだけでは、当たりかどうかを判断する材料が足りない。同じ題材の続きを足して数を並べ、動いたものに近いものを足していくと、外れの多さを数で補える。何か月続けてから判断するかは、始める前に決めておく。
収入源を複数に分けるのは、一つの販売の場の規約や取り分が変わっても、全部が同時に止まらないようにするためにある。同じ原稿を本と有料記事に分けて出す、素材を二つの場に預けるといった分け方なら、作る手間を増やさずに済む。分けたぶん入金の記録は散らばるので、入金日と金額を一か所に残し、所得の区分は雑所得と事業所得の分かれ目で確かめる。
やりがちな失敗は、積み上がる形を「放っておいても入る収入」と受け取ることにある。実際には題材の手直しや続きの追加が続き、作る時間が要らなくなるわけではない。「不労所得」を売り文句にした教材や講座は、情報商材や「必ず稼げる」という表示の項目にある入口と同じ形をしている。もう一つは、1作目を出しただけで止まることで、偏りの大きい場では1作目の売れ行きから向き不向きを判断できない。
