投資の全体像

商品・制度・数字・心の4つが、結果にどう関わるかを一望する。

商品・制度・数字・心の4つが組み合わさって、投資の結果を決める。どれか1つだけを極めても、ほかが崩れていれば結果は安定しない。

まず商品。現物株式・投資信託・個人向け国債・定期預金・現物不動産・FX(外国為替証拠金取引)・変額保険は、しくみも値動きの幅もまったく別物になる。リスクは「結果が不確実であること」で、具体的には収益の振れ幅を指す。振れ幅が大きいほど期待できる見返りも大きくなる傾向があり、同じだけ損失の幅も大きくなる(資産運用業協会)。借りて増やす為替の商品は振れ幅がとくに大きく、定期預金のように増え方が緩やかな商品は振れ幅も小さい。振れ幅の違う商品を組み合わせて持つのが基本の形になる。

次は制度。同じ商品でも、入れる口座で手元に残る額が変わる。特定口座(源泉徴収あり)や一般口座で得た利益には約20%の譲渡益課税(約20%)がかかるが、NISA 成長投資枠やNISA つみたて投資枠の枠内の利益は非課税になる。NISAの年間投資枠はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の合計360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、商品を売却すると翌年以降に取得金額の分だけ枠が復活する(金融庁)。iDeCo(個人型確定拠出年金)のように、働き方で使える枠が変わる制度もある。

3つめは数字。米国の実験では、被験者が同じS&P500に連動する4本の投資信託にお金を配る課題で、大半が手数料を最も低い商品に寄せられなかった。手数料の情報を見やすくしても結果は変わらず、むしろ運用開始からの年率の成績を重く見ていた。それでも、金融の知識が高い被験者ほど支払う手数料は少なかった。数字を読む力は、同じ投資信託を選ぶ場面でも差になって現れる。

最後は心。損の痛みを得の喜びより重く感じる度合い(損失回避の強さ)は、複数の実証研究をまとめた分析(2020年時点の集計版)で平均1.955倍と推定された。同じ金額でも、損は得のおよそ2倍の重みで感じられるということで、下がった現物株式を売れずに持ち続ける、逆に上がった途中で早く売ってしまうといった動きの元になる。

商品の振れ幅・制度の非課税枠・数字の読み方・心のクセは、どれも単独では完結しない。4つを順にたどりながら、自分の持ち方を点検していくとよい。

この節に出てくる図鑑の項目

出典