幼い子どもが始める
音あそびから文字へ進む入口。
幼い子どもの英語の音は、画面より大人の声から始めます。生後9か月の米国の乳児が中国語の話者と12回の時間を過ごした実験では、中国語の音を聞き分ける力が保たれましたが、同じ話者と教材を録画や録音で見聞きした群には効果がありませんでした(Kuhl ら 2003)。画面を見る時間は、2歳になるまでは勧められず、2〜4歳は1日1時間以内で、少ないほど良いとされます(WHO 2019)。座って過ごす時間は、大人と絵本を読んだりお話をしたりする時間に回します(同)。動画を使うなら、大人が横で同じ語を声に出し、子どもと言い合う形にします。
音あそびは、大きなまとまりから小さなまとまりへ進めます。子どもは、音節を扱えるようになってから、語の頭の子音と残りの部分(cat なら c と at)を扱えるようになり、そのあとで1つ1つの音を扱えるようになります。似た音の語に気づく力は、語の中の音を入れ替える力より先に育ち、音をつなぐほうが分けるより先にできます(Anthony・Francis 2005)。この順に沿うと、遊びは3段になります。まず elephant を手をたたきながら3つに区切ります。次に cat・hat・bat のように頭の音だけが違う語を並べ、違う音を当てます。「D は Dog」のように頭の音と絵を結ぶ歌や動画は、この段の遊びにあたります。最後に大人が /k/・/æ/・/t/ と1音ずつ言い、子どもがつないで cat と言います。
1音ずつの段で最初に使うのは、cat・bed・sit・cup のような短い語の母音です。/æ/・/e/・/ɪ/・/ʌ/は日本語の「ア・エ・イ」と似ていても同じ音ではないので、大人が先に図鑑で口の形を確かめておきます。文字との対応はa / e / i / o / u(短母音)にまとまっています。
文字は、音あそびに慣れたら早めに加えます。52件の研究をまとめた全米読書パネルのメタ分析では、音を聞き分けて操る力を育てる指導は、文字を使ったときのほうが使わないときより効果が大きく、扱う技能を1〜2種類に絞ったとき、合計5〜18時間のときに効果が大きく出ました。入園前の子どもにも効果がありました(Ehri ら 2001)。1日10分なら、およそ1か月から3か月半の量です。磁石の文字やカードを並べながら音を言うと、音と文字が同時に結びつきます。ただし、この研究の対象は主に英語圏の子どもで、日本語を話す子どもが外国語として英語を学ぶ場面の結果ではありません。
やりがちな失敗は3つあります。動画を流したままにすること、文字の名前(エー・ビー・シー)だけを覚えさせて音につなげないこと、1回にいくつもの遊びを詰め込むことです。子どもが飽きたら、その日はそこで終えます。
この節に出てくる図鑑の項目
出典
- Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning
- To grow up healthy, children need to sit less and play more
- Development of Phonological Awareness
- Phonemic Awareness Instruction Helps Children Learn to Read: Evidence From the National Reading Panel's Meta-Analysis
