フォニックスの全体像
音・つづり・つながり・語が、読むことと聞くことにどう効くかを一望する。
英語は26文字しかありませんが、音の数はそれより多くなります。英語の発音を教えるEnglish with Gregは、英語には44の音があり、24が子音、20が母音で、母音のうち8つは二重母音だと説明します。1つの文字が複数の音を持ち、1つの音が複数の綴りで書かれるため、文字をそのまま読むだけでは正しい音にたどり着けません。フォニックスは、発音記号が表す音と、その音を書く綴りの結びつきを、両方から学ぶ考え方です。
音の側は、母音と子音の2種類に分かれます。母音は/æ/のように短く切る短母音、/iː/のように伸ばすか動く長母音・二重母音、/ɜːr/のように舌を奥へ引いて丸めるr音性母音の3つに分けて覚えます。子音は/θ/のように息を止めるか擦って出す破裂音・摩擦音と、/l/のように鼻や口の中を使う鼻音・接近音の2つです。音を記号で表す決まり自体は、国際音声学会が運営する国際音声記号(IPA)チャートが国際的な基準になっていて、改訂は会員の提案を学会誌で公表したあと理事会の承認を経た版だけが公式になり、2012年からは出典を示せば自由に使える形で公開されています。
綴りの側は、c(2つの読み)のような1文字の基本から始まります。小学校教員のMrs Honeyは、shのように2文字が合わさって1つの新しい音になる二重字だけで十数通りあると教材で示します。さらに、aiのように2つの母音字が並ぶ母音ペア、a_e / i_e / o_e / u_eのように語末の黙字eが手前の母音を変えるサイレントE、arのように母音の後ろにrが来るr付き母音、-tion / -sionのように語の終わりだけに現れる決まりへと広がります。1つの音に綴りの選び方が複数あることが、英語の読みにくさの大きな部分を占めます。
米国議会の要請で組織された14名の委員会、全米読書パネルは、文字と音の結びつきを教える体系立てたフォニックス指導が、音素への意識づけや文章を流暢に読む練習と組み合わさったときに効果を持つとまとめています。音と綴りの結びつきを一つずつ覚えると、初めて見る語を読む力が育つだけでなく、聞き取りの力にもつながります。語と語がつながって聞こえる発話や、決まりどおりに読めない語は、この音と綴りの土台の上に積む次の段階です。
