上達の段階
1文字1音・つづりの決まり・語の強勢・文のつながり、の順番。
上達の段階は、1文字1音・つづりの決まり・語の強勢・文のつながり、の4段で考えます。後の段は前の段の音を材料に使うので、この順に積みます。語を読む力も同じように、文字を手がかりにしない段階から、一部の文字だけを使う段階、全部の文字を音に結ぶ段階、つづりのまとまりで読む段階へと進みます(Ehri 2005)。ただし段ははっきり区切れるものではなく、子どもの音の意識の発達でも、新しい力を学ぶあいだに前の力が磨かれていきます(Anthony・Francis 2005)。
1段目は、a / e / i / o / u(短母音)と子音字1つずつの音で、cat や sit のような3つの音の語を読むところまでです。音の側では、通じやすさに大きく効く子音から直します。日本語話者の英語を聞き手に評価させた2つの実験(各40人)では、評価を下げたのはL と R の混同やB と V の混同のように、語の区別に多く使われる子音の取り違えだけでした(Suzukida・Saito 2019)。
2段目はつづりの決まりで、進む順はイングランドの小学1年生が受ける国の読みの検査が参考になります。前半は1文字と、sh・ch・thのような子音の二重字、ee・ar・orのように読み方の揃った母音のつづりです。後半にph・wh、a_e / i_e / o_e / u_eのように離れた2文字で1つの音を表すつづり、air / earのような3文字のつづり、c(2つの読み)のように読みが2通りある文字が来ます(英国 Standards & Testing Agency)。段を上がったかは、初めて見る語を読めた数で測ります。同じ検査は40語のうち20語を意味の無い作った語にし、架空の生き物の絵を添えて、知っている語に当てはめて読まないようにしています。自分で測るなら、その段のつづりだけで作った語(shap・zort・fleep など)を10語並べ、読めた数を記録します。
3段目は語の強勢です。強勢の位置をずらした英語を書き取らせた実験では、英語の母語話者も非母語話者も同じように聞き取りを損ない、損なわれ方は、ずらした向きと母音の音色が変わるかどうかに大きく左右されました(Field 2005)。強勢の位置のずれと複合語の強勢位置で、自分のずれ方を確かめます。4段目は文のつながりで、子音 + 母音のリンキング、弱形(機能語が弱くなる)、短縮形、主にアメリカ英語で起きる/t/ のフラップ化を、聞く側と言う側の両方で使えるようにします。
終点は、訛りを消すことではなく、通じることと初見の語を読めることに置きます。強い訛りがあっても、分かりやすさや聞き取られやすさが必ず下がるわけではありません(Munro・Derwing 1995)。やりがちな失敗は、1段目の音を完全にするまで次の段へ進まないことと、強勢とつながりを最後まで後回しにすることです。1段目の音を練習しながら、2段目のつづりを読み始めてかまいません。
この節に出てくる図鑑の項目
出典
- Learning to Read Words: Theory, Findings, and Issues
- Development of Phonological Awareness
- Which segmental features matter for successful L2 comprehensibility? Revisiting and generalizing the pedagogical value of the functional load principle
- Phonics screening check: structure and content of the check
- Intelligibility and the Listener: The Role of Lexical Stress
- Foreign Accent, Comprehensibility, and Intelligibility in the Speech of Second Language Learners
