ソロランクをやっていると、説明のつかない瞬間に何度も出くわします。序盤はあれほど硬く、殴っても殴ってもびくともしなかった相手が、中盤のどこかから急に紙のように溶けはじめる。あるいは逆に、味方の火力は十分そろっているはずなのに、相手の前衛にダメージがまるで通らず、撃ち合いだけがずるずる長引いて競り負ける。どちらも「火力が足りない」「火力は足りている」の一言で片づけられがちですが、本当の原因はたいてい別のところにあります。放っているダメージの"種類"と、相手が積んだ"防御の向き"が噛み合っているかどうか。ここがずれていると、まったく同じ数字の火力でも、通り方はびっくりするほど変わるのです。

Honor of Kings(オナーオブキングス、以下 HoK)のダメージと防御は、慣れるまで見えにくい関係で結ばれています。この記事では、物理と魔法、防御と貫通という四つの言葉の噛み合いを、数式を一切使わずに腹落ちさせます。"硬い相手が急に溶ける"あの現象の正体をつかめれば、装備を1枠差し替えるだけで、通らなかったダメージが通りはじめる。その判断が自分でできるようになります。

ダメージの種類と防御・貫通の噛み合いを考えるイメージ

ダメージには「種類」があって、受け止める壁も別々

まず土台になるのが、ダメージには種類があって、それぞれを受け止める壁も別々だ、という事実です。HoK のダメージは大きく物理と魔法に分かれます。そして物理ダメージは物理防御で、魔法ダメージは魔法防御で軽減される。これは例外のない、いちばん大事なルールです。物理防御をどれだけ厚く積んでも、それは魔法のダメージを一切止めてくれません。逆もまた同じです。

つまり相手は、あなたに向かって二枚の別々の盾を持っている、とイメージすると分かりやすい。片方の盾を厚くしても、もう片方はがら空きのまま。だから「この相手は硬い」と感じたとき、正確にはどちらの盾が厚いのかを見なければいけません。

さらに、この二枚のどちらの盾も無視してそのまま入る、防御を無視するダメージ(確定ダメージと呼ばれます)という種類もあります。数としては多くありませんが、防御を厚く積んだ相手にこそ効くのが特徴で、硬い前衛を崩す隠し味になります。まずは「ダメージには種類があり、種類ごとに止める壁が違う」。ここだけ押さえてください。

「硬い相手が急に溶ける」の正体

この土台が分かると、冒頭の謎はほとんど解けます。硬い相手が急に溶けるのは、あなたの火力が急に上がったからではなく、あなたのダメージの種類が、相手の"薄いほうの盾"に当たったからです。

たとえば、物理防御をたっぷり積んだタンクを考えます。この相手は、通常攻撃で殴り続けるマークスマンにとっては本物の壁で、いくら撃ってもなかなか削れません。ところが同じタンクに、魔法ダメージを主体とするメイジが火力を当てると、話がまるで変わる。相手の魔法防御は物理ほど厚くないことが多いので、同じ"硬い相手"が、メイジの前ではあっさり溶けるわけです。溶かしたのは火力の大きさというより、種類の噛み合いです。

あなたのダメージが通らないときも、理屈は裏返しです。相手がちょうどあなたの種類に強い盾を厚くしていれば、どれだけ火力を積んでもそこで止まる。だから「通らない」と感じたら、まず自分のダメージが物理なのか魔法なのかを思い出し、相手がその向きの防御を厚くしていないかを疑う。これが、火力不足と勘違いしがちな場面を正しく読むための最初の一歩です。

守る側の理屈。全部を硬くする必要はない

視点を守る側に移すと、防御の積み方も同じ理屈で決まります。ポイントは、全方向に硬くなる必要はない、ということ。相手の脅威が主に物理なら物理防御を、魔法が中心なら魔法防御を厚くするのが基本で、飛んでこないほうの防御に枠を割いても、その盾は試合中ほとんど仕事をしません。

だから守りを固めるときは、まず相手の編成を見て「自分に刺さってくるダメージは、物理と魔法のどちらが多いか」を数えます。片方に偏っているなら、そちら向きの防御に寄せる。両方から等しく殴られる編成なら、片方に全振りするより、どちらの盾も無視して効いてくる体力(HP)を厚くするのも有効です。体力はダメージの種類を選ばず、あらゆる攻撃に対してあなたの粘りを底上げしてくれるからです。相手の火力の向きを読み違えて逆の盾を厚くしてしまうと、硬くしたつもりが全然硬くない、という事故が起きます。

貫通は「相手の壁を無視する方向」に効く

ここまでが盾の話。攻める側には、その盾に対抗する手段が用意されています。それが貫通です。貫通は、相手の防御を無視する方向に働くステータスだと考えてください。物理で戦うヒーローには物理貫通、魔法で戦うヒーローには魔法貫通があり、相手が積んだ同じ種類の防御を、その一部なかったことにして殴れるようになります。

さっきの「物理防御を積んだタンクにマークスマンの弾が通らない」場面を思い出してください。ここでマークスマン側が物理貫通を足すと、相手の分厚い盾の一部を無視できるようになり、止まっていたダメージが再び通りはじめます。これこそ、育った前衛が終盤に急に溶けはじめる、もうひとつの正体です。

大事なのは、貫通は「相手に防御があってはじめて意味を持つ」という点です。もともと柔らかい相手、防御をほとんど積んでいない相手に貫通を積んでも、無視する盾がないので効果はほとんど出ません。貫通は、硬い相手を崩すための道具であって、いつでも強いわけではないのです。なお貫通にも効き方の違うものがいくつかあり、相手の防御が高いほど活きるものもあります。どの装備がどれだけ削るのかはオトモリンバオの装備一覧にカテゴリと効果つきでまとまっているので、自分のヒーローの種類に合う貫通を一度確認しておくと選びやすくなります。

防御と貫通は綱引き。だから「いつ積むか」が決まる

防御と貫通は、そのまま綱引きの関係です。守る側が防御を厚くし、攻める側が貫通で押し返す。この構図が見えると、「装備をいつ積むか」の判断がとても素直になります。

貫通を積むべきなのは、相手が防御を積んでいる、あるいはもともと硬い前衛を削り切れないと感じたときです。逆に相手が柔らかい編成なら、貫通より純粋な火力や手数を伸ばしたほうが早い。防御についても同じで、自分に飛んでくるダメージが増えて溶かされはじめたと感じたら、その向きの盾を一枠差し込む。つまりどちらのステータスも「常に積む」ものではなく、盤面の綱引きがどちらに傾いているかを見て、傾いた側に足すものなのです。テンプレのビルドを最後まで丸写しすると、この綱引きを無視して要らない枠を積んでしまいがちなので、後半の1〜2枠こそ相手を見て決めたいところです。

増幅は本命の前に置く。順番だけで火力が変わる

もうひとつ、通り方を大きく左右するのに見落とされがちなのが順番です。相手の防御を下げたり、相手が受けるダメージそのものを増やしたりする効果(ここではまとめて増幅と呼びます)は、本命の大きな一撃の前に当てるのが鉄則です。

理屈は単純で、増幅は「そのあとに入るダメージ」を伸ばす仕掛けだからです。先に相手の防御を削ってから本命を叩き込めば、その一撃はまるごと得をする。ところが順番を逆にして、本命を先に撃ってから防御を削っても、いちばん大きなダメージはもう軽減されたあとで、増幅は残りかすにしか効きません。同じ手札でも、当てる順番が違うだけで、通る総量ははっきり変わります。自分のコンボの組み立てでも、味方との合わせでも、「削ってから、殴る」の順番を意識するだけで、火力の底上げがただで手に入ります。

これを装備選びに落とすと、問いは三つ

理屈をぜんぶ実戦に落とすと、購買画面で自分に投げる問いは三つに絞られます。

  • 自分のダメージは物理か魔法か。これで、積むべき貫通の種類と、火力アイテムの向きが決まります。
  • 相手は自分の種類に強い盾を厚くしているか、もともと硬いか。そうなら貫通を検討します。
  • 自分に飛んでくるダメージは物理か魔法か、あるいは両方か。それに合わせて守りの向き(または体力)を決めます。

ここまでの噛み合いを、物理と魔法で左右に並べると下のようになります。自分と相手がそれぞれどちらの列にいるかを見比べるだけで、積むべき向きが見えてきます。

観点物理ダメージ魔法ダメージ
ダメージの例(本文より)マークスマンの通常攻撃メイジの魔法
相手が軽減に使う盾物理防御魔法防御
その盾を無視する手段物理貫通魔法貫通
貫通が活きる相手物理防御を厚く積んだ/もともと硬い前衛魔法防御を厚く積んだ相手
積む装備の考え方物理系の火力を伸ばし、刺さる相手には物理貫通を一枠魔法系の火力を伸ばし、刺さる相手には魔法貫通を一枠

この三つに答えるには、自分のヒーローがそもそも物理型か魔法型か、どんな装備が合うのかを先に知っておく必要があります。そこはオトモリンバオのヒーロー図鑑で、ヒーローごとのダメージの種類やおすすめ装備・アルカナと合わせて確認できます。個々のアイテムが実際に何をどれだけ上げてくれるのか、貫通や防御がどの段階でどれだけ付くのかは、装備一覧に効果つきで並んでいるので、細かい数字はそちらに預けてしまえば十分です。覚える作業まで含めてアプリの暗記トレーニングに任せておくと、購買画面で手が止まらなくなります。

"硬い相手が急に溶ける"のも、"火力が通らない"のも、魔法のような出来事ではありません。ダメージの種類と防御の向きが噛み合ったか外れたか、そして貫通と増幅でその噛み合いをどう作りにいったか、ただそれだけの話です。この関係が頭に入っていれば、通らない撃ち合いの最中でも「今は種類が外れている、貫通を一枠足そう」と、原因と対処が同じ速さで出てくるようになります。自分のヒーローの種類とおすすめの積み方はオトモリンバオで確かめて、次の試合の購買画面から、噛み合わせを意識した一枠を選んでみてください。

注記:本文は物理・魔法と防御・貫通の一般的な関係を、仕組みとして説明したものです。具体的な軽減率や貫通量、装備の数値、ヒーローごとの固有値は版やシーズンで変わるため断定していません。最新の数値はアプリの図鑑・装備一覧でご確認ください。