レーンで何度も死ぬ、いつの間にか相手に差をつけられている、やたらとガンクに刺さる。そんなとき、多くの人は「相手のほうが強かった」「ジャングルが来てくれなかった」と、原因を試合の外に探します。でも、もう一段手前に、その不安定さの出どころになっている要素があります。兵(ミニオン)の波が、いま盤面のどこでぶつかっているか、です。

Honor of Kings(オナーオブキングス、以下 HoK)のレーンは、突き詰めると「兵の波をどこでぶつけるか」の押し引きでできています。波をどう処理するかで、レーンの主導権も、安全に帰城できる隙も、ガンクの刺さりやすさまで変わる。しかもこれは、指の速さ(メカニクス)をほとんど要求しません。目の前の兵をただ反射で殴るのをやめて、波が「いまどこにいて、次どこへ動くか」を読むだけ。コストパフォーマンスで言えば、ソロランクでいちばん安く手に入る安定です。この記事では、その読み方の超基本、つまり押し込む・引く・溜めるの使い分け、波で作る帰城のタイミング、そしてガンクされにくい位置取りまでを、初中級者向けに具体的に整理します。

5つのレーンと兵の流れのイメージ

そもそも「波」とは何か、なぜ動くのか

各陣営の拠点からは、一定の間隔で兵(ミニオン)の一団が湧き、それぞれのレーンを相手拠点へ向かって進んでいきます。この一団が「波(ウェーブ)」です。自軍と敵軍の波はレーンの途中でぶつかり、そこで小競り合いを続ける。あなたがレーンでとどめ(ラストヒット)を取ってゴールドと経験値を稼ぐ、いわゆるファームも、この兵からです。つまり波は、あなたが育つためのエンジンそのものだと言えます。

大事なのは、波がぶつかる場所は固定ではなく、動くということ。どちらかが相手の兵を速く倒せば、生き残った兵の数で押し勝ち、ぶつかる位置は相手の塔のほうへ進んでいきます。逆に、自分が倒すのが遅ければ、波はじわじわと自陣側へ押し戻される。この「ぶつかる位置」を左右するレバーを、あなたは握っています。どれだけ速く兵を消すか、です。ウェーブ管理とは、目の前の兵を反射で殴るのをやめて、この、ぶつかる位置を“わざと”選びにいくこと。ここが出発点になります。

ひとつ補足すると、ときどき、普通の兵より硬くて塔に強い“攻城役”の兵が混じる波があります。これが入った波は放っておいても相手の塔へ食い込みやすく、押し込みの起点として便利です。どのくらいの周期で来るかは自分の目で確かめてほしいのですが、「今回の波はやけに硬いな」と気づけるようになると、押し引きの精度がぐっと上がります。

押し込む・引く・溜める:3つの選択肢

波に対してできることは、大きく三つに分かれます。

  • 押し込む:相手の兵を速く倒し、自分の波を相手の塔まで届かせる
  • 引く(受ける):相手の波を自陣に呼び込み、自分の塔の近くで受ける
  • 溜める(止める):ぶつかる位置を自陣寄りで動かさず、その場に留める

初中級者にいちばん多いのは、何も考えず常に「押し込む」だけをしている状態です。目の前に兵がいるから、来た端から全部すぐ殴る。結果、波はいつも相手の塔に張り付き、自分は相手陣内の深い位置に立ちっぱなしになります。これは後で見るとおり、ガンクにとって最高の的です。

三つの中でいちばん技術がいるのが「溜める」です。やることはむしろ逆で、兵を全部すぐには倒さない。相手の兵を少し生かしておき、自分は削られて死にそうな兵だけをラストヒットで拾う。こうすると自分側の兵の数がわずかに少ないまま釣り合い、波はほとんど動かず自陣寄りで止まります。安全な場所に“いつでもファームできる一点”を作り置きしておける、というわけです。

そして肝心なのは、三つのうちどれが正解かは、状況で変わるということ。常に押すのが強いわけでも、常に引くのが安全なわけでもありません。この選び分けそのものが、ウェーブ管理という技術の中身です。

押し込むべき時、引くべき時

まず押し込みたいのは、レーンをいったん離れたい時です。装備を買いに帰城したい、別のレーンやジャングルの戦いに合流したい、マップの大型オブジェクトを取りに行きたい。こういう時に波を相手の塔へ押し込んでおくと、あなたが不在のあいだ相手はその波の処理に縛られ、自分の塔はダメージを受けずに済みます。自分が優位に立てる時期(パワースパイク)に入って相手の塔を削りたい時も、押し込みが起点になります。

逆に引く・溜めるを選ぶのは、リスクを避けたい時です。育ちで負けている、体力が減っている、味方ジャングラーが遠い。そんな時に相手陣内まで押し上がるのは、自分から危険地帯へ歩いていくのに等しい。波を自陣寄りに置いておけば、塔と味方ジャングラーを背にして安全にファームでき、無理に間合いを詰められても逃げ帰れます。相手を自陣の深くまで誘い込み、飛び込んできたところを塔と味方で返り討ちにする“罠”としても使えます。

どちらを選ぶかは、その時の盤面と、握っているヒーローで変わります。波を一瞬で消せる高火力タイプなのか、じっくり溜めて殴り合いに持ち込みたいタイプなのかで、得意な波の作り方はまるで違う。自分のヒーローが波の処理にどれだけ向いているか、強みが出るのはいつかは、オトモリンバオのヒーロー図鑑で立ち回り(序中終盤)や強い時期まで確認できます。対面の相手に有利なのか苦手なのかも、押すか引くかを決める材料になります。

ここまでの押し引きを、三つの選択肢ごとに「狙い・向いているタイミング・リスク」で並べると、選び分けの軸が見えてきます。

操作狙い向いているタイミングリスク・注意
押し込む自分の波を相手の塔まで届かせ、レーンの主導権を握る/相手の塔を削る帰城・別レーンやジャングルへの合流・大型オブジェクト奪取でレーンを離れたい時。優位な時期(パワースパイク)で塔を狙う時相手陣内の深い位置に立ちがちで、ガンクの的になりやすい。相手ジャングラーの居場所が不明なときは押し上げすぎない
引く(受ける)相手の波を自陣に呼び込み、塔と味方を背に安全にファーム/飛び込んできた相手を返り討ちにする育ちで負けている・体力が減っている・味方ジャングラーが遠いなど、リスクを避けたい時被ガンクは小さいが、レーンの押し圧・主導権は相手に渡しやすい
溜める(止める)ぶつかる位置を自陣寄りで動かさず、いつでもファームできる一点を作り置く位置を固定して安全にファームを続けたい時(三つの中で最も操作技術がいる)兵を全部すぐ倒さず、削れた兵だけをラストヒットで拾う調整が必要

帰城のタイミングは、波で作る

ウェーブ管理がいちばんはっきり効くのが、帰城です。よくある失敗は、クールダウンや所持金がたまった“気分”で、波が中央でぶつかっている最中に帰ってしまうこと。これをやると、あなたが拠点にいるあいだに相手はゆっくり波を押し込み、あなたは戻るまでのゴールドと経験値を丸ごと取りこぼし、下手をすれば自分の塔まで削られます。帰城は、レーンにぽっかり空く“隙”そのものなのです。

だから、帰るなら波を相手の塔へ押し込んでから、が基本形になります。押し込んだ波は相手の塔が処理してくれるので、あなたが拠点にいるあいだも失うファームはほとんどありません。しかも塔にぶつかって消えた波は、その反動で今度は自分側へ跳ね返ってくる。買い物を終えて戻るころ、ちょうど次の波が自陣寄りで待っている、という理想の形が作れます。こうして帰城は「レーンに空く隙」から「予定に組み込んだピット作業」に変わります。いつなら安全に離れられるか。その主導権を握れるのが、波を押せる側の特権です。

波が決める「ガンクされにくさ」

最後に、ガンクの話をウェーブ管理につなげます。結論から言うと、あなたがガンクされやすいかどうかは立っている位置で決まり、その位置は波の状態で決まっています。

考えてみてください。常に押し込んでいる人は、いつも相手陣内の深い場所に立っています。そこは、相手ジャングラーが最短で到達でき、しかもあなたには逃げ道が少ない。仕掛ける側にとって理想の獲物です。逆に波を自陣寄りに置けている人は、飛び込むのに相手は長い距離を詰めねばならず、あなたの背後には塔も味方もいる。同じ実力でも、波の置き場所が違うだけで、刺さる回数はまるで変わってきます。

だからガンク対策は「視界を取る」だけの話ではありません。相手ジャングラーが画面から消えて居場所が分からない時に、深く押し上がらない。これが同じくらい大事です。相手ジャングラーの位置がきちんと見えていて安全なら、そこは遠慮なく押し込んでいい。読むというのは、波の状態を盤面(とくに相手ジャングラーの居場所)に合わせにいく、ということです。レーンが安定して不用意に死ななくなれば、大型オブジェクトの奪い合いにも余裕を持って顔を出せる。波の主導権は、そのまま試合全体の主導権へつながっていきます。

まとめ:読むだけの、いちばん安い上達

ウェーブ管理の良いところは、新しいコンボを覚えるような特訓がいらないことです。必要なのは、目の前の兵を反射で殴るのをやめて、「この波を、いまどこに置きたいか」と一度だけ問うこと。押し込む・引く・溜めるの三つを状況で選び分けられるようになると、レーンの主導権・安全な帰城・ガンク耐性という三つの安定が、まとめて手に入ります。

どの波の作り方が得意かは、握るヒーローによって変わります。まずは自分の主戦力の立ち回りや強い時期をヒーロー図鑑で押さえ、押すべきか引くべきかの土台にしてみてください。次のソロランクで、兵を殴り始める前に一拍だけ「この波、どこに置く?」と考える。オトモリンバオを横に置いて、その一拍を習慣にできれば、レーンは驚くほど静かに安定していきます。